
第292回
農林水産大臣からの留守電。
[ 更新 ] 2025.08.10
六月に入り、仕事ではないところでの、こまかくて少しばかり難儀なあれこれがあり、少し疲れぎみ。
けれど、ひどかった時差ボケもようやくなおったので、ほぼ半月ぶりに、気のおけない親しみ深いメンバーでの飲み会に出かける。
期待していたとおり、楽しくて、おいしくて、話もはずみ、来てよかったー、難儀な日々が遠ざかるー、と、内心で何回もつぶやきつつ、夜が更けてゆく。
けれど、あまりに楽しすぎて酒量がふえ、だめな酔っ払い状態に。
見回すと、お店にたくさんいたお客さんもすでに去り、わたしたちだけが長っ尻で居座っている。
あわてて支払いをし、帰途につく。
六月某日 雨
雨のせいで、鬱々とする。
と、最初は思っていたのだけれど、昨夜の自分の「だめな酔っ払い」的な言動が、きれぎれに脳裏にうかぶので、鬱々としているのは、雨のためではなく自分のせいだと、途中で気がつく。
頭をかかえ、布団にもぐり、反省。
夜まで反省し、明日からはちゃんと生きようと決意。
今まで、百万回くらいしては破られた決意だけれど、いちおう、決意。

六月某日 晴
突然思いたち、この前知った方法で、パン種をしこむ。
粉と水だけでしこむ、「世界最古のパン種作成法」といわれる作りかたである由。
六月某日 曇
まだ子どもの状態であるパン種に、餌をやる。
毎日これを繰り返し、七日間ほどで、大人のパン種になる由。
六月某日 雨
パン種に餌やり。気泡などが出てきて、生きものらしさが増している。
何かを飼っている気持ちになり、名前をつけようと思いつく。
さんざん考えたすえに、「つゆ」と名づける。
生まれたのが梅雨の季節なので。
六月某日 晴
つゆが、元気。嬉しさのあまりこの前の反省をすっかり忘れ、家飲みでまた飲みすごす。
けれど、今日は一人で飲みながら『なぞの転校生』のDVDを見返しているだけなので、大丈夫だ。ミッキー・カーチスが走る場面で、やたら泣き上戸になるも、誰も見ていないので、ぜんぜんかまわないのである。

六月某日 晴
夕方、久しぶりに家電に電話がかかってくる。
知らない電話番号なので、取らずに眺めていると、留守番電話の録音が始まる。かけてきた人は、留守電に用件を吹きこみはじめた。
「突然のお電話で、失礼します」と始まり、つづいて「農林水産大臣の小泉進次郎です」
と言うので、仰天。
「自民党のスピード感のある政治」で「みなさまの食卓と未来を守りたい」ので「明日の都議会議員選挙では、ぜひ自民党候補のご支援」をお願いしたい、と、頼まれてしまい、電話の前で、右往左往。