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第302回

ぜんそく!

[ 更新 ] 2026.06.10
四月某日 曇
 先月末からの喘息が、少しばかり重くなり、病院で点滴を打ってもらったり治療薬を変えてもらったりいろいろする。
 春先は毎年喘息になるのだけれど、このところの十数年は、ずっと軽くてすぐさま平癒してくれていた。それが、今年はなぜだか日に日に「ぜんそく!」という感じになってゆく。
 感嘆符つきのものにならなくていいから、野に咲くかそけき花のような「ぜんそく…」でいいから、と、胸の内の喘息に言い聞かせるが、なかなか言うことを聞いてくれないやんちゃな奴が、今年は、やってきてしまったもよう。

四月某日 晴
 というわけで、ほぼ一カ月、寝たり起きたりする日々。
 食事を食べる気力がないので、体重がどんどん減る。
 昔ならば、「しめた! 喘息ダイエットだ!」と内心でほくそえんだところだが、前期高齢者なので、そもそも少ない筋肉がますます落ちてしまってフレイルになることや、ふらふらとしか歩けなくて道ばたでころんでしまう不安がまさり、うまくほくそえめない。

四月某日 晴
 ようやく喘息がおさまる。
 ふら~、と寝床から起き上がり、ゆら~、と冷蔵庫近辺をうろうろし、どろ~ん、という感じでうどんなど作り、食べる。
 おいしい。

四月某日 曇
 食欲はすっかり戻り、体重も戻り(実のところ喘息以前よりも重くなり)、生活もすっかり元通りになったのに、仕事への意欲だけが戻らない。
 締切をずっと過ぎてしまった「東京日記」をようやく書きあげ、担当編集者にメールする。
 ものすごい大仕事を終えた感に満ちる。今日は偉業を成した! と、夜にたくさんビールを飲む。

四月某日 曇
 免許の更新へ。
 しばらく社会生活から離れていたためか、最初の過程である画面の入力がまったくうまくゆかない。スマートフォンの中のバーコードを、機械が読み取ってくれないのだ。
 お手伝い係の男性から、「スマホのガラスが割れてるから、うまく読み取れないんじゃない?」と、ばかにされる。かわいそうなわたしのスマホ。
 バーコードではなく予約番号を入力してもだめなので、一カ月ほどの間に自分の能力がすっかり減退したのかとドキドキしていたが、結局予約の日を間違えていて、一日早く来てしまったことが判明。機械の操作入力能力ではなく、認知方面に問題があるのかもしれないとびくびくしながら、よろよろ帰宅。

四月某日 晴
 ふたたび免許の更新へ。
 昨日わたしをばかにした男性が、また最初の過程の機械の前にいるので、びくびくしながらバーコードを機械に読み取らせる。今日はすぐさまうまくゆく。
 早く男性から離れようと、機械から出てきた紙をひっつかみ、次の過程へと足早に去ろうとすると、男性が追いかけてきて、
「あと二枚紙が出てきてますよ。はい」
 と、とても感じよく、にこやかに渡してくれる。
  昨日、帰宅してから、ネットで「免許更新 感じ悪い」で検索をおこなった自分を、深く反省。
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