第16回
『ハチミツとクローバー』~静かなシスターフッド
[ 更新 ] 2024.12.27
美大で美術史を教える花本先生が、親戚のはぐ(花本はぐみ。内語はないが、主人公認定していいと思う)を、今年の新入生として教え子たちの前に連れてくる。小柄で童話から抜け出てきたような外見のはぐが、差し入れのコロッケを食べる様子を見た瞬間の後輩男子・竹本の顔を目にして、先輩の真山は思う。「人が恋におちる瞬間を、はじめてみてしまった」
そこへ入ってきた天才と名高い最上級生の森田。しかし彼は、大きな仕事を外部から請け負って突然何か月も大学を休むため、留年を繰り返している、ちょっと変人。彼もはぐを見ると、どこかへ飛び出していき、戻ってきたときには、手に大きなハート形のサトイモの葉が握られている。それをはぐに渡し、「これを、持て」。それをみて「うん。」とぐっと手を握り、「コロボックル!」。
<実は「人が恋におちる瞬間」というものは、この場にもうひとつ訪れていたのだが、今ひとつ解りづらいパターンだったため(下図参照)、誰ひとりとして気付くものはいなかったとさ☆>【図1】
【図1】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』1巻(集英社)22頁
『ハチミツとクローバー』(略して「ハチクロ」)では、この、小柄なのに卓越した集中力で次々と超大作を完成させるはぐを頂点とする男性たちの片思いの三角形と、もう一つ、少し後に登場する陶芸専攻の山田(あゆ)の真山に対する、また真山自身のバイト先の設計事務所所長・理花に対する一直線の片思いが、全編を通して描かれていく。羽海野チカ『ハチミツとクローバー』はたぶん、少女マンガ史上でも数少ない、壮大な「片思い」の物語なのだ。
◆連鎖する片思い
陶芸を専攻する山田あゆみ(あゆ)は、同じ美大の真山にずっと片思いしている。一方、真山の方は、花本先生の紹介でバイトを始めた設計事務所所長の理花に強く惹かれてしまう。半分この世に生きていないような、儚げな雰囲気を漂わせる理花。
じつは花本先生の親友でもあった理花の夫は、雪の日に、理花が運転する車で事故に巻き込まれ、亡くなってしまったのだ。理花自身も命が助かったのが不思議なくらいの重傷で、いまでも杖をついて歩き、体には無数の傷がある(理花がバスルームで倒れたとき、真山はそれを見てしまう)。今は夫と共に請けた仕事を完遂すべく一心不乱に働いているが、それが終わったら命を絶ってしまうのではないかと、花本は(今は真山も)どこかで感じている。だからこそ、一人にさせてはいけないと、花本は真山を理花のもとに送り込んだのだ。真山がいちばん、人と距離を置いてクールにつきあうように見えたから。「それが、まさかこうなるとはな…」。
しかし真山がどれほど理花を想っても、理花の目はいつもずっと遠くを見ている。
そして、真山が理花が好きなことを知りながらも、その真山にずっと片思いしているのが、ヤマダだ。酒屋の娘で、いつも教授をうならせるような大盃や、大きな陶芸作品を造り、美脚で(しかも美乳で!)、逆上すると、ときにその美脚で、相手にダイナミックな蹴りをくらわせる。【図2】
【図2】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』1巻(集英社)111頁
その蹴りは真山に対しても炸裂し、朝から理花に送られて大学にやってきた真山を見て、「まだあの女と切れてなかったってわけ? 早く決着つけなさいよっ。つ――か、何人女の子泣かせりゃ気が済むの! アンタってオトコはっ。不毛な恋、いつまでも引きずってんじゃないわよ」。
周囲から巻き起こる「ヤ・マ・ダ」コール。
真山は理花への報われぬ恋の一方で、コンパにふらふらと現れては女の子をお持ち帰りしていたのだ。それを責めるヤマダ。
彼女は真山に言う。「――どうして、あのひとにちゃんと好きだって伝えないの? ……そうやって、何も答えを出さないで、何となく何となくでフラフラ流れて行くの?」
ヤマダにとってもこれは他人ごとではない。彼女自身も真山に好きだと伝えていないからだ。これは、真山自身がヤマダに好かれていることを自覚しているからこそ、その言葉を言わせるようなシチュエーションを避けてきたから、というのもある。真山はヤマダに言う。「もうオレを見んのやめろ」。
しかしヤマダは夜、真山の背中に背負われながら告白する。「真山…すき」「好き」「大好き」。名シーンである。【図3】)
【図3】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』2巻(集英社)112-113頁
何度も何度も「好き」「大好き」と繰り返すヤマダ。相手がそれに応えることはないとわかっていても、伝えることで何かが浄化されるのだ。それに対して「ありがとう」と答えた真山にとっても。
<真山が私と話す時、悲しい顔をしなくなった。今はそれがうれしくて、少し――――さみしい…>
ヤマダは美脚で美乳で「女神のようなカラダ」をしており、ご覧の通りきっぷもよく、同じ商店街の若い三代目たちの片思いの対象でもある。商店街の三代目たち→ヤマダ→真山→理花と続く、まさに連鎖する一直線の片思い。少女マンガの中で、これほど恵まれた容姿をもっている女性キャラクターの片思いの切なさが、ここまで描かれたのはあまり例がないのではないかと思う。
◆あゆと理花~静かなシスターフッド
さて、そのヤマダ(あゆ)が、真山の片思いの相手・理花と、はじめて顔を合わせる場面がある。その頃、真山は美大を卒業し、有名設計事務所の内定を取り、理花の設計事務所のバイトからいったん離れている。そしてヤマダのつくる大胆な陶芸の器は、この設計事務所の受注先に気に入られ、ときどきヤマダは注文を受けて器を納入するようになっている。ちょうどヤマダが器の納入に来た時に、真山の働く事務所で理花と鉢合わせするのだ。
「どうしよう……」「どうしよう」「どうしよう」「この人だ…」
「真山の…大好きなひと」【図4】
【図4】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』7巻(集英社)25頁
<何か話さなきゃ>と焦るヤマダに理花は言う「もしかしてあなた、山田さん?」真山からヤマダの話を聞いていたということだ。「真山君とは1コ違いですけど同級生で、ここも半分、真山君の紹介みたいなカンジで」と説明しながら、あゆは思う。<よかった><真山がいなくてよかった><ここにいなくてよかった><一緒にいる2人を見なくてすんで、本当によかった>
その後、花本先生のところで二人はもう一度顔をあわせる。杖をついているのに華奢なヒールの靴をはいている理花を心配するあゆに花本先生は言う。「仕方ないさ。リカの宝物だからな。死んだダンナが買ってくれたヤツだ。大事なんだよ」
「自分よりも?」と問うヤマダ。「…………ある意味な」。
<愛し愛された想い出が、彼女をしばる>
ヤマダは思う。「あんなにキレイで、あんなにキズだらけで」
降ってきた雨に二人は一緒にタクシーに乗り込む。「靴…もっとカカト低いのでないとあぶなくないですか?」と問うあゆに、理花は答える。「そうね。気をつけないとね」。<彼女はそういって少し笑った。まるで雨にぬれた花みたいに> 【図5】
【図5】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』7巻(集英社)30-31頁
二人はこの後、少しずつ親しくなる。真山の勤め先の設計事務所でヤマダの器を見た理花が、うちでも頼みたい、と依頼したのだ。「ヤマダは忙しいから」とその依頼を握りつぶそうとした真山だったが、理花が設計事務所を訪ねたそのタイミングで、またもヤマダが納品に現れる。理花から依頼を聞いて、彼女と一緒に仕事をすることを決意するヤマダ。しかし内心は、真山が事前に依頼を断ったということにショックを受けている。「心配って本当は誰の為? 私の? リカさんの?」
「私がっ、リカさんに何かすると思った⁉」
一方、理花との仕事は順調で、ヤマダの器は理花の受注先にも気に入られる。納品後に理花と一緒にお茶を飲みながら、ヤマダは思う。「真山の目に映るこのひとはどんな姿をしているのだろう。この肩に、この白い頬に触れたいと、胸を痛めてみつめているのだろうか」。
――好きな人の片思いに自分を重ねる、静かな静かな視線。
理花はヤマダの器をさまざまな受注先に紹介し、ヤマダは業界でも驚かれるようなところと、一緒に仕事ができるようになる。
「――全部リカさんのおかげなんです…。――本当に色んな方に引き合わせていただいて……」
「リカさん、よっぽどあなたの仕事が気に入ったのねぇ……」と事務所の先輩。
理花自身が、ヤマダが真山に片思いをしていることを察しているのかどうかは、わからない(少なくとも真山の事務所の先輩である美和子さんは、ヤマダの片思いも真山の片思いも知っていて、理花とあゆが顔をあわせた時には、一人胃をきりきりさせている)。
亡くなった夫にほとんど感情を持っていかれてしまっている理花にとっては、そのことは薄い関心の対象にしかすぎないだろう。だが、理花のあゆに対する親切なふるまいの中にはどこか、自分が距離をおきながらも無意識に手をのばして傷つけてしまった真山に対する贖罪の思いが含まれているような気がする。
やがて、真山と理花との間には転機が訪れる。その転機がどういうものかわからないながらにあゆは、二人が話す電話の声を聴いて、二人の間柄に変化が起こったことを悟る。
<でも、私にはわかる。時おりリカさんから入る電話に答える声に、今までとかすかに違う落ちついた深い声が混ざる。――――そう。彼は……――優しくしあう事を許されたのだ…>
◆美和子さんのシスターフッド
そんなヤマダを、なにもかもお見通しの美和子さんは、「いいトコ行こっか☆」と健康ランドに連れていく。まずは、バラ☆フルーツ風呂とアカすり。そしてなにより、花柄のムームー。「この花柄のムームーをきて悲しい事、考えろったって無理な話よね」【図6】
【図6】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』8巻(集英社)150-151頁
小腹がすいたら枝豆と生ビール。飲んで食べたら「次はプールとマッサージとゲルマニウム温浴だよっ。今日はフルコース行くんだからね」。ヤマダの涙を拭きながら言う美和子さん。
舞台が美大ということもあって、登場人物それぞれが別の方向をみつめている「ハチクロ」世界の中にあって、美和子さんのシスターフッドは、最もわかりやすいシスターフッドだ。女同士だからわかる理解と励まし。人生の先輩のあたたかい慰めに、美しい身体を投げ出して、心地よく眠るあゆ。
あゆに惹かれている同じ事務所の野宮との電話で美和子は言う。「つくづく真山もヘンタイよね。この女神のようなカラダを前に落ちなかったなんて大したもんだわ。よっぽどこの娘が大事だったのねぇ」。
人が人を大事にするのは、恋愛として相手に応える応えないということとは別問題なのだ。
◆あゆとはぐ~「一人にしない」こと
『ハチミツとクローバー』には、もう一つ、大事なシスターフッドが描かれている。はぐとあゆのシスターフッドである。
はぐがほとんどしゃべらないキャラクターであることもあって、この関係も他の少女マンガ作品ほど見えやすいものではない。だがまず、花本先生が別の教授と1年ほど海外で仕事をすることになった時(花本先生は、はぐを置いて行くことに逡巡し、一緒に連れていくことを考えていたが、はぐは残ることを選び「大丈夫。はぐにはおともだちがいるから」と言った)、一人になったはぐと、花本先生がいない間、一緒に暮らすことになったのが、あゆ(ヤマダ)である。二人の共同生活の様子はそれほど事細かに描写されているわけではないが、ヤマダの住む商店街で、はぐと一緒にクリスマスケーキを売るバイトをしたり、一緒にティーコゼー(紅茶ポットにすっぽりかぶせて紅茶を冷めないようにする綿入りの手芸品)「プックン」を作る場面は、あたたかで可愛くて、忘れがたい。
しかしなにより、はぐとあゆの友情がきわだってくるのは、終盤近くなって、はぐがたいへんな事故に巻き込まれたあとのことである。
あまりのことにあゆも、最初はどうしていいかわからず混乱する。「何か手伝えれば」と思って、今まで持っていなかった携帯も持って、はぐ(あるいは花本先生)からの連絡に備えるあゆ。だが、そうしながらも彼女は迷う。
はたして自分にできることなどあるのか? 小さな身体で次々と突出した大作をつくり、美術界で将来を嘱望されるはぐと自分とでは、あまりにも背負っているものが違いすぎるのではないか。じつは彼女はずっとこう感じてきたのだ。
<目の前にいても、彼女がここじゃない何処かを見ているようで。今はここにいるけれど、いつかひらりと通り過ぎていってしまうような気がして>
「ありきたりなコトバなんだけど、ほんとうに、世界が違うんだ……って」
それに対して野宮は言う。「うん、そうだね。みんな多分そう思ってるよ。――で、全員で彼女を遠まきにするんだ。「私には何もしてあげられそうにないから」って。――で、まんまと彼女はひとりぼっちってわけだ」
「山田さん、君は残りなさい。残んなきゃダメだ」
「友だち、なんだろ?」【図7】
【図7】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』9巻(集英社)130頁
「友だち、なんだろ?」その一言があゆを決意させる。たとえ微力でも、友だちとして、私がはぐを、支える。
あゆは夜中、ミシンに向かう。作ったのは羽毛入りのケープ。病院のベッドに横たわるはぐにそれを渡してあゆは言う。「ちょっと起き上がった時に背中と肩があったかいようにと思って」
羽毛入りのケープは、お父さんの古いダウンを切って作った。そうしたら、「ものスゴイ勢いで羽根が飛び出して来て………もースゴイのなんのって………掃除するのに2時間かかったよ」
「あゆ、背中にもたくさんくっついてるよ、羽根」とはぐ。
「いやん。とってとって」というあゆだが、はぐは、<とらなくっていいよ。だって、天使みたい、だもの>「ありがと。あゆ」【図8】
【図8】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』9巻(集英社)135頁
女性同士の、忘れがたく、美しいシーン。
それからしばらくたって、あの羽毛ケープを肩にかけ、花本先生と一緒に鳩を眺めながら、はぐは言う。「………あのこ、あゆに似てる」
「目がくるっとして姿勢が良くて、胸がふっくらしててすべすべで、足がピンクな所…」「五月先生に、リハビリには粘土を触るのがいいって言われた。やってみたいな。あゆに習って陶器も焼いてみたい…」
「最初に鳩を作りたい。――で、最初のいっこはあゆにあげたい」
ここから、はぐとあゆのシスターフッドと信頼は、一生のものになったのだ。
◆視線の先にあるのは――
『ハチミツとクローバー』は、読み返してみると、少し不思議な物語である。原稿を書こうとして、他の少女マンガとは少し違うことに気づく。
「あ、この関係――」とメモを取ろうとして、「あ、男性同士だった」とか、ときには「男性と女性だ」と気づくことが何度もあった。作中に、「同じ人が好きだからこそ通じ合う関係」とか「片思い同士だからこそ通じ合う関係」というのは何度も描かれているのだが、そこにあまり男女差がないのだ。男女差もないし、恋愛と友情との間も、どうも地続きであるように感じられる。みんな誰かを大切に思ってはいるけれど、その人とペアになって世界を閉じたい、その人を「自分のものにしたい」という欲求は希薄であるようなのだ。
何度も、「ライバルとブラザーフッド」という項目もつくろうか――と思いながら気づいた。お互いが好きな女を頂点とする男同士の友情は、それこそ「ホモソーシャル」な男社会の象徴のはずなのに、なぜ「ハチクロ」の男同士の関係はそこから遠いのか? それはおそらく、「ハチクロ」の人間関係に「所有」の概念がないからだ、と。
『ハチミツとクローバー』の愛は、「その人をずっと見つめ続ける」ということで表わされる。ずっとずっと見つめ続けて、その人がほんの少しだけ振り向く。そこから二人ははじめて、<優しくしあう>ことを許されるのだ。
『ハチミツとクローバー』の中には、重要なハグのシーンが3つある。そのうち2つは、はぐの重大な事故の後。不安に耐えきれなくなっているはぐと花本先生とのハグ。そしてそれに続く森田とのハグ。
「生きててくれればいい。一緒にいられればいい。オレはもう、それだけでいい」という森田とのハグの翌朝、はぐは森田にこう言う。「見てて」「治すから。ぜったいに治すから」。
そして、「ゆうべ言ってくれた事、ほんとに嬉しかった。忘れないね。私もずっとあなたの事、見てる」。
「見てて」「見てる」。ここではそれが、いちばん強い思いの表現である。そして、「人生の伴侶」には、それとは別の選択があるのだ。
もう一つのハグは、かつての花本先生と理花の別れのハグ。花本先生と理花の夫・原田は同じ部屋で暮らす親友で、理花が原田の恋人になってからは理花も加わり、原田と理花が結婚を決め、二人で設計事務所を興すまで、三人一緒の部屋で暮らしてきた。しかし事故で原田が亡くなり、理花が後を追うのではないかと思った花本は、理花から目を離さないように再び理花の傍で暮らすようになった。だがそれは逆に原田の不在を浮き上がらせ、二人を追い詰めることとなる。<どんなに原田がすきでも、どんなにリカが大事でも、俺が2人にしてやれる事なんて、2人が幸せであるように見守りつづける事しかなかった。いつまでも2人が一緒に居られますように>――あとを追わせてやった方が幸せなんじゃないか……とまで考え始めてしまった花本。それに気づいた理花は涙を流し、花本をハグしながら言う。「ごめんね。ごめんなさい、あなたに、こんな事……」「私たち離れましょう。一緒にいてはいけないわ……。大好きよ、修……」
リカに対する感情を真山に聞かれて、花本先生はこう答える。「上手いコトバが無いんだよ。原田も理花も、恋人とも友だちとも違った。ただ大事だったんだ、オレにとって。一生のうちの一番大事だった時間を一緒に過ごして、同じ部屋で同じものを食べて、同じ空気を吸って、もう自分の、カラダの一部みたいに思っていた」
このセリフの背景に描かれるのが、『ハチミツとクローバー』を象徴するような観覧車だ。【図9】
【図9】羽海野チカ『ハチミツとクローバー』2巻(集英社)79頁
それぞれが一定の距離をとって回り続ける観覧車。恋人とも友だちとも違う関係。『ハチミツとクローバー』の中にジェンダー差があまりないのは、たぶんそこに描かれているのが、一般にいう恋人でも友だちでもない関係だからだ。それぞれが自分の目標を持ち、しかしそれぞれに、「見つめ続ける」人がいる関係。ときに<優しくしあう>ことを許されても、またそれぞれが別の時間へと戻っていく関係。
おそらく、ジェンダーの配置が変わるとき、「シスターフッド」の意味も変わる。その変化はおそらく、よしながふみ『大奥』の中にも潜んでいるのではないだろうか。
※本文中の台詞の引用は、読みやすさを考慮して句読点を適宜補っています。