ウェブ平凡 web heibon




第244回

流ししらたきレース。

[ 更新 ] 2021.08.10
六月某日 曇
「流ししらたきレース」に参加する夢をみる。
 自分のしらたきには、名前をつけなければならない。一回のレースへの参加者は五人。わたしが参加したレースの、他のメンバーのしらたきのそれぞれの名前は、「ヒョロ丸」「かずこ」「内憂外患」「スミス」。自分も名前をつけなければならないのだが、いい名前を思いつけないうちにレースが始まり、名無しのわたしのしらたきは、結局最下位に。
 レース終了後には、それぞれのしらたきをゆで、ポン酢をつけて食べる。

六月某日 晴
 友だちが、「ツイッターでカワカミの名前を見たよ」というラインをくれる。
 くだんのツイッターのスクリーンショットが次に送られてきたので、じっと眺める。
「川上弘美さんを遺跡に誘いたい」というツイートである。
 すぐさま手帳をだし、「誘われたいイベントベスト3」を考えはじめる。もちろんベストのトップは「遺跡探訪」。
 午後までかかって考えた、二番めに誘われたいイベントは、「くるみ拾い」。三番めは、「羊の毛刈り」。
 けっこう、自然志向である自分を発見。

六月某日 曇
 友だちから電話。
 開口一番、
「カラスに乗られた」
 と、友だち。
 歩いていたら、ばさ、という音がして、突然頭が重くなった。びっくりして頭を振ったら、カラスが飛びたち、ばさばさと羽ばたいてから、去った……。
「実は五年前、うちの姪も、この時期にカラスに乗られたの」
 とのこと。
 どうやら今はカラスの繁殖期で、黒いものを見つけると、縄張りを荒らしにきた他のカラスかと思い、威嚇しにくるらしい。
 友だちは、わたしと同年齢の63歳。
「髪、黒くてつやつやなんだねー」
 と感心すると、
「いやー、それほどでも」
 と、友だち、照れる。

六月某日 晴
 新型コロナワクチンの第一回の接種を、かかりつけ医にて。わたしは基礎疾患持ちなので、同年代よりも少し早く接種券が届いたのである。
 接種時の、かかりつけの先生との会話。
「アルコール消毒をしますよ。アルコールは、大丈夫ですか?」
「はい、皮膚につけるのも、飲むのも、大丈夫です」
 会話をしながら、
(こういう悦に入ったことを言いたがる患者との会話を、きっと先生はこのところのワクチン接種で毎日繰り返しているのだろうな)
 と反省しつつ、同時に、自分が年若いころダジャレを連発する年配者に心の中で舌打ちしていたことを思いだし、当時の自分の傲慢さに赤面。
 しかし、七月に受けた二回目の接種でも、同じ会話をつい交わしてしまうことを、この時の自分は、まだ知らない……。

SHARE