私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

犬山紙子 イラスト=箕輪麻紀子

第16回 働く妊婦さんの悩み
~理解してもらえない、申し訳なさ、妊娠を言い出せない……~―2

前回に続いて、働く妊婦さんの悩みを紹介していきます。

◎通勤、帰宅ラッシュがかなり辛い

★お腹が膨らみ始めたけど目立たない時期、満員電車でぎゅうぎゅうになり、お腹は大丈夫か怖かった。

★10ヶ月まで満員電車で通勤したが本当に一度も席を譲ってもらったことがないことに驚いた。それどころか舌打ちまでされる。

★普段は1時間ほどの急行電車通勤でしたが、電車の揺れや匂いて吐いてしまうので各駅にしか乗れず途中途中降りてはトイレに駆け込んでいました。結果通勤に2時間くらいかかってしまい、会社が遠かったです。
2人目妊娠のときは上の子の保育園お迎えがあるので帰宅には急行を利用するしかなく、汚い話で恐縮ですが口の中に吐いたものをためた状態でひたすら次の駅に着くのを待っていました......。

★マタニティマークをつけていても、席を譲ってもらえるのは月に1・2回あるかないかだった。

★貧血ぎみで、通勤電車での立ちくらみがあり、このまま倒れたら......と怖かった。



満員電車も不安だらけなんだと思います。また、周りも妊婦さんが満員電車に乗っていると、心配したり気を使ったりするかと思います。この件に関してはよく議論されているのを見かけます。

「妊婦は満員電車に乗るな、時間をずらせ」「譲ってもらおうとしているのがあつかましい、他にも疲れてクタクタな人はいる」、また逆に「妊婦に席を譲らないなんて言語道断」とか。

でも、妊婦さんが満員電車に乗るのは、断じて妊婦さんが悪いのではありません。普段よりも体調が悪いとされる妊婦さんに、「睡眠時間を削って満員でない時間に乗れ」だなんておかしな押し付けです。

何が問題かって、会社が妊婦さんの出社時間をずらす、自宅作業にするなどの対応ができていないことが問題だと思うのです。

こういう、会社がやるべきことをやらないから、従業員同士で争いが起こるのはよく見かけます。妊婦や小さい子どもがいる従業員の仕事のしわ寄せがほかの人に行く。周りも不満が募るし、本人は罪悪感から無理をするし、という話もそうですね。これもどっちが悪いではなく、会社がしっかりしろ、と思うのですよ。妊娠、子育て、育休取得は誰にでも起こりうることで、事前にそうなった場合の人員を確保するなどしておかなければいけない。辛い者同士が争うのは悲しいことです。

とはいえ、経営状態の厳しい会社にどうにかしろと理想論を振りかざしてもどうにもならないことも多いわけで......。
政治家のみなさん、ほんとお願いしますよ!!


◎横になれる休憩室が欲しかった 

★全日休まなくても大丈夫なのですが、どーーしても横になりたい時に休憩室にソファがあれば...と切実に思いました。使ってない会議室の椅子を並べて横になってました......。

★体調が悪いときに少し横になると楽になったので、気軽に横になれる場所がネットカフェ以外にあるといいなと思いました。


★つわりの時、昼休みに横になりたくて社内の診療所に行ったら「つわりは病気ではないので」と断られたこと。それ以来、お腹が張った時も行きにくくて、少し横になりたいだけ(しかも業務時間外)でも「妊娠=病気ではない」と言われてしまうと、半休やフレックスを使わないといけないのかととても不便だったが、「妊婦様」と思われるのが嫌で会社に言えなかった。


これは妊婦でなくても、どの会社にも横になるスペースがあると良いですよね。病気じゃないからと断るのも、そういう決まりがあるのかもしれませんが、ベッドを一つ貸すくらいのことができない決まりって一体なんなのでしょう。
妊婦さんを苦しめる「病気じゃないんだから」というワード。病気じゃないから一体なんだって言うんでしょう。具合の悪さは病気だから、病気じゃないからは関係なく襲ってくるわけで。
出血やお腹に張りがあったりするのに無理をすればお腹の命が最悪終わってしまうかもしれなくて。
とっとと廃れてほしいワードです。


◎フリーランス、自営業の不安。臨月まで仕事をしてしまう、産休明けにまた使ってもらえるのか、仕事の発注が減ってしまったなど。

★自営なので、産後の働き方など確立されておらず(会社員の方のように決まった産休・育休は確保されていません)、やはり不安でしたが、これは仕方ないことだと思っています。

★起業して数か月で妊娠してしまったので、仕事どうしよう、というのが一番不安でした。自分が行かないと代わりがきかない仕事も多くて、この体調不良とつきあいながら、どう仕事をこなすかを毎日考えていました。その日の体調を見ながら今日は何ができて、何ができないとか。

★フリーランスですが、第一子出産後仕事が減ったりなくなったりしたことから、第二子第三子の妊娠の時は、基本隠していました。産後も無理に働かなくてはならなかった。休むことが許されなかった。

産休を取ることでの仕事がなくなる不安......。私も、よおおおおおおく分かります。産休、育休制度が受けられないということは、その間の収入ももちろんゼロ。産休明けに仕事がないと路頭に迷う......。


◎派遣社員だから育休が貰えない、会社に産休制度がなくやむなく退職

★非正規だったので育休が取れるかをずっと争って、争っている間に生まれてしまったこと(第一子も第二子も)。どんな雇用形態の人にも育休があればいいのにと思った。

★派遣社員だったのですが、切迫流産で休んだら、それを理由に契約を終了とされました。
「あなたの体を一番に考えて」という言い方でした。

同じ仕事をしているのに正社員と派遣社員で差がつくのは立派な身分差別だと私は思っているのですが、これも政治家の方、どうにかしてくれないものでしょうか......。



◎仕事に最後まで責任を持ちたい、キャリアは諦めたくない、でも無理はしてはいけない。精神面と肉体面の葛藤。


★重要な会議があった翌日など、起き上がれないほど体調を崩してしまっていたので、考慮してもらえばよかったと思う反面、自分の仕事は責任を持ちたいという考えもあり、体調と精神面がなかなか折り合いつがかなかった。

★つわりや張りで欠勤することがあったのですが、それが本当に申し訳なくて辛かったです。逆に、どこまでが必要な休息でどこからが甘えなのか判断が難しいのも不安でした。周りに遠慮するあまり無理をして、赤ちゃんに万が一のことがあったらと思うと......。また、通常よりも業務量を減らすことで、自分が取り残されていくような被害妄想にとりつかれることもありました。

★今まさに妊娠中期の安定期なはずなのに具合が悪くて欠勤に欠勤を重ねています。後ろめたい気持ち、申し訳ない気持ちで心がいっぱいで......。
無給でも構わないので産休のタイミングなどを自分で決められたらなぁ......と思いました。9ヶ月まで頑張るのは私には辛過ぎました。
これだけ職場に迷惑をかけていると退職も頭をよぎります......。

★今後時間でも仕事内容でも過剰には働かないので、ベンチャーである職場ではキャリアアップを望むことが難しいと感じた。実際、海外に支社が出来るとのことで、独身もしくは子どもがいなかったら、きっと立候補していたと思うと、悲しくもある。今後時短で働くとなると収入も減るので、自宅で出来るような仕事内容を増やしたりなど裁量で給与キープなどできればいいのにと思う。


私も本当に悩んでいます。今も悩んでいます。みなさんが仰るとおり、「どこからが無理でどこからが無理じゃない」なんてわからないんですよね。お医者さんがはっきりと「これはしちゃダメ、あれはして良い」と言ってくれるものでもない。お腹の赤ちゃんに体調を聞くこともできないですし。働く=赤ちゃんに悪いわけではないと、それなりに知識があっても不安なのです。

一度、多大な迷惑をかけたこともありました。
それまで体調が良かったのに5ヶ月頃急に出血。出張先だったので救急病院で診てもらったら「子宮頸管が短くなっている。切迫流産気味かもしれない。即入院というわけではないけれど」と言われました。
翌日、2時間ほどのテレビのお仕事があったのですが、「はっきりと大丈夫だと言えないので、休んだほうが良いとしか言えません」と言われ(お医者さんがそうとしか言えないのもよくわかる)、泣く泣くドタキャンすることに。その時はまだ妊娠を公表していないタイミングでもありました。

事務所は私の体調を考えてくれ、「赤ちゃんになにかあるのが一番ダメだから」と私の意向を優先してくれます。でも、私自身、自分の気持ちに整理がまったくつかなくて......。
「ものすごく仕事がしたい。そもそもずっとやりたかった仕事だったし、この仕事からたくさん仕事が派生したら最高だ。でも、赤ちゃんに万が一のことがあったら私は一生後悔することになる。でも、ドタキャンってとんでもない迷惑を先方にかけることだ。このせいで、もう呼ばれなくなっても仕方ないくらいに迷惑をかけることだ。でも赤ちゃんの命を守れるのは自分だけだ」
「休むしかない」とわかっていても、気持ちになかなか整理がつかないのです。
先方に迷惑がかからないなら、「仕事をしたい」という気持ちを抑えるだけで済むのですぐ決断できるものも、迷惑をかけてしまうという罪悪感は相当なものでした。

辛い決断だったけど、無理をしないほうを優先。
新幹線で東京に戻るときも横になれないことへの不安で、新幹線のベッドをお借りしました。

今もたまに、あの時の仕事ができていたら......と思ってしまうことがあります。先方の迷惑を考えたら、自分の選択をこれで良かったと大声で言えるものでもありません。とても勇気のいることだけど、「安定期ではないですが、実は妊娠をしています」とあらかじめ言っておくのが最良だったかもしれません。でも、流産してしまった場合は、言わなければよかったと激しく後悔もしたと思います。本当に難しい。

その後、子宮頸管の長さは正常値に戻り、今は仕事をしても大丈夫ときちんとお墨付きをもらって仕事に復帰。
いくら体調が良くてもこんなことが起こるんですね。
それ以降、「切迫早産で入院したりするリスクがあるけれど、それでも大丈夫でしたら」という話をしつつ仕事をし、「無理をしない」は、自分の中で「あー、1日疲れたな」と思わない程度、と考えるようにしています。

あとは、
・母子手帳を必ず持ち歩く
・地方に行く時は必ず病院を確認しておく
・万が一を考えて海外には行かない(何かあった時に入れる保険がないので、とんでもない金額になる)
と自分の中でルールを作りました。

大阪で行った救急病院も、あらかじめ知っていたのでスムーズにかかれて、無駄に不安になることがなくて良かったです。

そんなわけで、妊婦が仕事をするのは不安だらけであります。
全体を通してのキーワードは「一番不安な初期に周りに言えない」「妊娠についての知識が周りにない」「仕事と赤ちゃんのことの板挟み」「社会・会社が未成熟」だなあ。

でも、悪いことばっかりではありません。
理解のある人、会社、勇気をくれる人、そんなこともたくさんあります。
アンケートにはそれらの声もたくさん寄せられていますので(とはいえ悩みの半分くらいなのですが)、次回またそちらをご紹介できればと思います!