私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

犬山紙子 イラスト=箕輪麻紀子

第14回 妊婦さんたちはどんなことに悩んでいるんだろう?-2

 前回に引き続き、アンケートの回答をご紹介していきます。

◎「親族からの余計なひと言」

★義父からも遠回しに「現代の妊婦は楽してる、昔の人は凄かった」と言われ不快な気分になりました。

★「お母さん(私)を苦しめてダメじゃない」
。悪阻がひどかった頃に、私のことを考えて発してくれたお義母様の一言が引っかかりました。赤ちゃんは何も悪くないし、むしろそんな状態になったのは母体のせいじゃないのかとモヤモヤしました。

★「妊娠は病気じゃないんだからもっと動きなさい」
。母や祖母に言われる言葉です。お腹が張ってしまうからそんなに動くことが出来ないと伝えているのに何度も言われます。身内だからといって、同じ経験をしていないと共感はしてもらえないのかなと少し寂しく思いました。

★親戚や義両親に「よかったねー!」と言われたこと。わたしは結婚して10年近く子どもがおらず、かつ、35で出産と遅めだったのですが、そもそも子どもが欲しいともあまり思わず、夫婦ふたりの生活にとても満足していて、親戚などにも子どもが欲しいという話は一度もしたことがなかったので、勝手に私が子を熱望していたと思い込まれているようで嫌でした。

★前回の妊娠で死産を経験していて、義母や義父、実母まで会うたびに「順調?」と聞かれてそれが辛かった。
順調じゃない出来事があって今、お腹にいる子は元気だけど亡くなった子の事を含めて今回は大丈夫なんだろうな?と意地悪されているような気持ちになった。それが嫌で、辛くて会いたくなくなった。

親族は身近なので、遠慮なくいろいろ言われることも多い、その上期待もされるからトラブルはどうしても多くなりがちですよね。安定期に入る前に親族だけには伝える人もいると思いますし、流産の可能性の高い一番不安な時期にこういうことを言われたらなおさら。
一人っ子はかわいそうだからたくさん産んだほうが良いだとか、クソバイスも起こりがちなんですよね。たくさん喜んでもらえるのは嬉しい、けど過剰な期待をあまり乗せないでほしい。子どもの人生は家のものじゃなくて、子どものものです。


◎「科学的根拠がないクソバイス」

★子供のいる友達に「冷えると逆子になる」「腹帯をしないと赤ちゃんが下がる」という偽医学っぽいことを言われたり、「楽しいのは今のうちだけ。子どもがいると何もできなくなる」と必要以上に脅されたこと(子どもができて制限はできたけど、やりたいことを必要以上に諦める必要はないと思う!)。

★迷信や偽科学に基づいたクソバイスをたくさん浴びせられたこと。
「あれを食べるな」「これをするな」という本人達は別に今しんどい体に何も役立たないばかりか、かえってストレスで「滅せよ!!」とずっと思ってました。

★◯◯を食べると、あかちゃんがアトピー性皮膚炎になるよ、シャンプーの経皮毒など科学的根拠がないことをいわれること。これまで過ごしてきたことや、普通に生活していることに罪悪感を抱くようなことがいやでした。

これもとっても同意します。
科学的根拠のないことを信じるのは自由ですが(プラセボ効果や、おまじないのように考えて心が落ち着く効果もあるだろうし)、人に押しつけて、なおかつ怯えさせるようなことを言うのって呪いのようなものです。
私も昔、「普通のシャンプーだと子宮に毒が貯まる、出産の時にシャンプー臭い、だからやめたほうが良い」と美容師さんに言われて、その美容院には二度と行かなくなったっけ。
ちなみに現代の医学を悪だとして、医療は受けないという人からの押しつけは更に恐ろしいと思っています。医学のおかげで母子ともに健康でいられる確率がぐんとあがっているし、病院に行かなければ助かるものが助からない可能性だってあると思います。


◎「染色体検査するの?」

★姑から出生前診断受けないの?と言われた(夫婦で決めるセンシティブなことだし、障害の有無にかかわらず中絶は考えていなかったのでもしも障害のある子が生まれたら受け入れてもらえないのか......と感じて嫌だった)

★「染色体検査とかするの?」という言葉。難しい問題ですが何があっても産むし育てるという返事をすると実家や義実家両親は困惑顔でした......。

こちらの意見もかなり多かったです。この話題は本当にセンシティブですよね。検査を受ける受けない、受けてからどうするか、どう考えるか、そんなの本人にも正解は見えないことだろうし、悩んで悩んで悩む問題だと思うんです。どんな選択をしても誰にも責められない、ジャッジしてはいけない、本人にしかわからない領域の話だと思います。そして何より本人が傷ついているかもしれない。どんな結果であれ、本人が話したいと思うまで触れないほうがよい話題だと思います。


続いて、ここまで書いた以外で私が気になった投稿を、いくつか紹介します。

★私は今妊娠8ヶ月の妊婦です。友人たちの中では結婚するのが早かったので、妊娠も周りより早めでした。私が引っかかったのは、一番の親友と思っている人に久しぶりのLINEで言われたことです。
「◯◯(私)は順調に女の幸せを手に入れてるよね」
。私にはバリバリ働く親友も素敵にうつるし、羨ましいです。結婚妊娠だけが女の幸せなのでしょうか?

これ、私も痛いほどわかります。結婚した時、妊娠した時に「女の幸せを掴んだね」「勝ち組」とされることへの苛立ち。私も昔は、そういうことを言っていました(デビュー作のタイトルも「負け美女」だし......)。幸せとされる人にはこれくらい言ってもよいって思っていたんですね。リア充爆発しろと同じ文脈。ひどい話です。
でも、様々な経験をしたり、人の話を聞くうちにグッと価値観が変わったんですね。人間当たり前だけど結婚出産が勝ち負けではない、っていうか、勝ち負けなんかこの世にない。対「周り」ではなく、対「自分」だよね、と。
女の幸せなんてこの世にない、幸せは性別でくくるものじゃない、個人個人のもの。
なので、正直「勝ち組」と言われると、「そんな考え方じゃないし、薄っぺらく思われてるんだな......」と悲しい気持ちになるだけで、嬉しいなんて1ミリも思わないのですよ。そもそも結婚出産=幸せでもないですよね。不幸になる人もいるわけです。私は勝ち負けで人をジャッジした過去があるので、反省しきるまで受け入れようと思いますが......。

様々な生き方があって、それぞれの幸せや不幸がある。
その人それぞれの事情に沿った、悩みや喜びがある。
他人と自分を比べても、安定した気持ちは手に入れられません。むしろ地獄への入口だと私は思っています。
だって上を見たらキリがないし、他人を下と見ることで自分がどんどん醜くなりますから。
絶対に私が人にしたくないこと、過去してしまっていただけに深く思っていることだったりします。
「自分」と比べるべきは「自分」。
客観視と他人と比べるは全く別物だと思っています。


★一番「?」が浮かんだのは、「子どもは国の宝だ」と言われた時。

これもよくわかります。これも言ってる方は悪気のない、むしろ良かれと思って言ってるパターンですね。でも、子どもは国のものじゃないです。少子化のために子どもを産むわけでもないです。子どもの人生は子どものもので、親のものでもない。
「偉い!」と言われると本当にモヤるんです。それを認めたら子どもを産まない人生は、偉くないということになります。
子どもを産むか産まないか、悩みに悩んだ自分にとってそれは到底受け入れがたい。偉いんじゃない、自分の意思で幸運なことに子どもが授かっただけ、そう思います。

最後に、ここに挙がっていないことで私が言われたくないなぁと思うことがひとつあります。
それは、「名前」のことです。
性別と同じように周りが興味を持ちやすい=質問しやすい話題だと思います。
でも、「名前はもう決めた? 教えて!」「子どもがかわいそうだからキラキラネームはつけないでね」と言われると、すごくモヤモヤしてしまいます。

「名前教えて!」は、その質問自体が嫌とかでもなく、質問をされたからといって無神経だなと思ったりもしません。
でも、どういう名前を言っても「いいね」という反応以外は、「ジャッジされたくない」「チェックされたくない」「名前に口出しをされたくない」という気持ちになりそうなのが目に見えてるので、あまり言いたくないんですよね......(これは私の性格ですね、名前について語り合いたい人もいると思います)。
考えに考えた名前にクソバイスされたら、その人のことを好きじゃなくなってしまうかも......くらいに思ってしまうし、それは避けたい。相手に悪気はないですから。
なので、つけたあとに友人たちに伝える形にしようと思っています。

「キラキラネームはつけないでね」は、完全に余計なお世話だなあ......。周りが名前にとやかく口を出すのはとっても変なことですよね。世間がキラキラネームと勝手に言おうが、心を込めてつけた名前は美しいと思います。とはいえ、子どもが生きにくくなりそうな名前は避けようと思っていますが......。

と、ここまでまとめましたが、かなり長くなってしまいました。

やはり、妊婦さんは一つにくくれない。
その人それぞれ、個性に沿った悩みがある。
当たり前のことですが、妊婦さんだからこの話題、ではなくて、この人だからこの話題、と妊娠する前と同じ考え方で会話ができればそこまで摩擦がないかもしれません。
でも、世間には「妊婦さんにはとりあえずこういうもの」みたいなものがありますから、あまり相手の気持ちを想像せずに話してしまうことが多くある、だから妊婦さんたちが悩むことも多いのだと思います。

そして悩んでいると「ホルモンのせいだね」と断定されてしまうことも多い。
ホルモンの作用もあるでしょう。でも自分の中できちんと「これがこうで嫌だった」と思っていることは、ホルモンのせい、という言葉だけでは絶対に片付かないものだと思っています。

次回は職場での悩みをまとめようと思います。その他、人から受けた嬉しかったことや妊娠して考え方が変わったことなど、頂いたアンケートで触れたいところはたくさんです。

重ね重ね、アンケートに答えてくださったたくさんのみなさま、本当にありがとうございました。この何倍も本当は紹介したい声だらけなのです。