私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

犬山紙子 イラスト=箕輪麻紀子

第10回 仲良し夫婦Cさん、セックスレスだけれども、2人目はどうしよう?
~Cさん(38歳、外資系保険会社、3歳の男の子)の場合~

今回お話を聞いたのは、復職して2年目のワーキングマザーCさん。
前回のKさんは旦那さんが海外に単身赴任中という超過酷な中での子育てだったけれど、Cさんは旦那さんと分担しながら子育てをしているよう。

働きながら子育てをすると、旦那さんとの関係ってどんな感じになるのだろう。
「産後クライシス」という言葉もよく聞くし、実際「その期間は旦那が大っ嫌いになった」という話も知り合いからよく聞いている。廊下ですれ違うときに体が触れるのも嫌で、横歩きをしていたという旦那嫌い過激派の人もいたっけ......(そして、その前情報を受けて私の旦那は怯えている)。
でもCさんの家では、そんなことはなさそうなのです。お互いにいろんなことを分担して、結婚前とそこまで変わらない生活を送っているみたいで。う、羨ましい。その秘訣が知りたい! 

あと、すごく聞きづらいけどめっちゃ気になるのが、子どもを産んだあとセックスする気になるかどうかなんですよ。
子どもと一緒に寝て、仕事と子育てで日々きっと疲れきっていて、お互いをパパ・ママと呼び合うようになって......。
そうなると、いざセックスをするというのは、とてつもなくハードルが高そうに思えるんですよ。

そのへんも踏まえて、とってもプライベートなことなのだけど、Cさんに子どもと旦那さんとの過ごし方を聞いてみました。


妊娠がわかったとき......
最初は......、なんか嫌だった

「2年間交際していた1つ年上の旦那と入籍して3ヶ月で妊娠して。漠然といつか子どもが欲しいとお互い思ってたし、結婚ってそういう意味があると思ったから、一緒に住み始めて自然に避妊しなくなったの。そのうち吐き気がしたりおかしいなと思って妊娠検査をしたら陽性。旦那は「できてると思ってたよ、俺は」って(笑)。でも最初は......、なんか嫌だった。もう34歳でそんなに若くなかったから嬉しいのはもちろんなんだけど、いきなり降りてきた感じがして。子宮筋腫の手術をしたときに、産婦人科の先生から子宮の形的に子どもができにくいかもって言われてから、そんなにすぐとは思ってなかったってのもあるな」

いやぁ、入籍して3ヶ月で妊娠はかなり戸惑うだろうと思う。傍から見るとすごく順調で羨ましい話だけれども、妊娠となると覚悟をたくさん決めなきゃいけないし、その日からガラッと人生が変わるもんね......。
Cさんは、当時、英語力を活かし派遣で外資系企業のファイナンス部門で働いていた。妊娠がわかったのはちょうど職場や上司の信頼を得てきて、仕事が面白くなった時期だったという。

「それまで働いてた会計事務所と違って、そこの職場は自分のやりたいことができる!って感じだったの。もう少しで正社員になれるね、なんて言われ始めたときに、いきなり妊娠しちゃって。だから、最初は隠してた。派遣だと出産後の復帰ができなかったから。本当は制度的に派遣会社も育休がなくちゃいけないんだけど、特に外資の派遣会社だからあんまり整ってなかったんだよね。もちろんずっと隠すわけにもいかず、休職をしたのだけど、いつか復職しようと思って勉強はしていて。でも、復職はそんなに現実的には考えられなかった」

仕事が面白くなってきたタイミングかつ、派遣社員という立場での妊娠は、葛藤も大きかっただろうなぁ。

そのころCさんは仕事以外でも気がかりなことがあった。
それは、ご両親の健康状態。
結婚前からお父さんの病状が悪く、手術を繰り返す状況だったそう。
結婚後、お父さんは亡くなられ、今度はお父さんの看病をしていたお母さんが病に倒れてしまったのだ。
そのため妊娠中から出産後も、お母さんの介護のため実家と東京を往復する暮らしだったそうなのです。

「あのころのことは、あんまり覚えてないんだけど、今思えばけっこう精神的にも肉体的にも忙しかったなあ。子どもが生まれた後も、新生児は夜もずっと泣いてるし、3時間おきに起きるし。お母さんも最後は歩けなくなっちゃって......。子どもが生まれて1歳になる前に亡くなったの」

ううう......母ひとりの介護を兄弟3人で分担していた私でも本当にしんどかったのに、お父さん、お母さん、新生児と、その大変さは今の私じゃあ想像もつかない......。
でも、大変な環境下であってももろもろの手続きはやらなければいけないわけで。
0歳の年末に出さないといけない保育園の申請はお母さんと一緒にずっと田舎にいたCさんに代わり、旦那さんがいろいろと調べて申し込んでくれたそう。

保育園の申請関係がとても大変だということは、この連載で嫌というほど聞いたので、旦那さんはとっても頑張ってくれたのだろう。


なんとなく、この子のためだけに自分の時間を
この先もずっと使うのはちょっと無理かもと考えるようになってきた。

「出産後、子どもと2人だけの期間があまりにも楽しくて、もう働かなくていいかなと思った時期もある。誰かのために家にずっといるなんて今までなかったし、もちろん嫌なこともあるんだけど、このままずっと(働かないで)息子といるのもいいなって思った。初めて出会った自分の子どもっていう生き物も、すごく面白かった。
あまりにも我が子が可愛いから(笑)、赤ちゃんの芸能事務所にノリで応募したら、いきなりCMに起用されてしまって。撮影に行ったりするのも楽しくて。でもなんとなく、この子のためだけに自分の時間をこの先もずっと使うのはちょっと無理かもと考えるようになってきた。もともと人と会うのが好きだし、私は働くほうが向いてるのかなって。健診なんかで仲良くなった専業主婦のママ友もいたんだけど、やっぱり気が合うのはワーキングママのほうだったし。子どもとの時間とは別に、自分の時間をもっと広げたいと思った」

そこでCさんは外資系の保険会社に就職を決め、第一志望ではなかったけど近所の保育園も無事に決まった。

「うちの子は、慣らし保育(1ヶ月ほど保育園に慣らすための短時間保育)でも一度も呼び出しがないくらい、保育園に馴染んで。会社も子どもがいるひとをたくさん雇うっていう方針で、職場に同じように子育てをしている同僚が多かったからすごく精神的に楽で、職場でストレスを感じたことはないな」

Cさんはワーキングマザーに優しい会社に就職することで、仕事へのストレスもやりがいも両方持てたようだ(どの会社も優しくあってほしいものだけど......)。


旦那とは予定を共有してて、どちらかに飲み会や遊びの予定が入ったら、
どちらかが家で息子と過ごすようにしてる

具体的に、旦那さんとはどんな感じで子育てを分担してるんだろう?

「もともと旦那は子どもが好きで育児にも協力的で、保育園の送り迎えも朝は旦那、帰りは私っていう分担。旦那の会社が近いから『行きは俺やるよ』って言われて。でも、周りをみても送り迎えはけっこう男女で分担してる感じがする」

こうやって旦那さんから言い出してくれるのってすごく理想的だ。
自分から「あれやって、これやって」と何もしない旦那さんにお願いするのは疲れるし、「なんで言わないとわかんないんだろう......」ってストレスにもなると思う。そんで、これがこじれるとどんどん旦那さんへの不満がたまって爆発してしまうのではないでしょーか。

それにCさん、出産後もあまり行動範囲が狭くなってないようにみえる。
友達の飲み会とか、ちょっとした予定でも旦那さんとCさんはよく出かけているし、子連れでもいろいろなところに行っているようだ。

「子どもが生まれたからライフスタイルを変えたいってのがあんまりなくて。今までの生活を変えずに、ただ子どもがいるっていう感じが合ってるなあと思うの。旦那とは予定を共有してて、どちらか飲み会や遊びの予定が入ったら、どちらかが家で息子と過ごすようにしてる。子どもがいても、飲み屋でもご飯屋さんでも、入れる店なら一緒に連れていっていて。新生児の頃は、子連れですって事前に連絡してたけど、今は普通に3人ですって言っちゃうかな。最近は子ども連れてくる人、多い気がするよ。私たちが小さいときより、大人が行くお店に家族で来たり。区の保健センターの健診で集まるときも、どういうお店いってますかとか情報交換してる(笑)」

母親が飲みに行っても怒らない、お互い外出したいときには協力しあう。
これって当たり前であるべきなんだけど、まだまだ女と男で役割が分かれている日本では、旦那さんのほうが優先されている気がする。

Cさんの家庭は、お互いがお互いの予定を大事にしているんだろう。
旦那さんの予定ばかりが尊重されたら、「私は我慢しているのに、旦那は飲み歩いてばっかり......」なんて不満を感じて、旦那さんのことを愛せなくなってしまいそうだ。小さい子を持つお母さんからよく「離婚したい」と冗談なのか本気なのか(たぶんそのときはけっこう本気)聞くけれど、こういうことの積み重ねなんだろうな。
Cさんと旦那さんはバランスがすごく良いように思えてきた。

いやぁ、Cさん、いいな。楽しそうだな。
読者の皆さんにも大いに参考になると思うので、Cさんに、どんなお店が子連れに適しているか聞いてみた。

「適度にほうっておいてくれて、子どもがいても過剰なサービスをしないお店は居心地がいいかな。子どもはすぐ飽きちゃうから、パッと食べて出られるような、近所の居酒屋とか焼き鳥屋とかがけっこう多い。焼き肉は座敷があるのがいいんだよね。中華も街の中華屋さんとかだと、お店のひとも覚えてくれて居心地よかったりする。
で、だいたい子どもは30分ぐらいご飯を食べると落ち着かなくなるから、そうなったら動画を見せて、どこもだいたい1時間ぐらいで出るかな。あと重要なのは時間帯で、オープンすぐとか、20時前までに帰るとか。平日は混んでても週末は家族連れが多くて使いやすかったりもするんだよね。もちろん子連れがダメなところはダメって言われるけど、それはそれでぜんぜん嫌じゃなくって、言ってくれたほうが楽。もちろんバーや完全に大人向けの店には最初から行かないけど。
......本当は家で食べるほうが疲れないけど、それだと私が一緒に食べられない。それを旦那さんはあんまり好きじゃないみたいで、土日はちょっと外に出ようかってことになる。だから私自身、働いてるってのもあるし、あまり罪悪感なく店に行こうとか言えるんだよね。お会計はいちおう割り勘。旦那が多めに出して、私もいつも少し払う。うちは財布は別だから」

私も甥っ子や姪っ子と一緒に外食することがあるのだけど、確かに周りに気を使うし、出かける支度も疲れる。でも、献立を考えて買い物をして料理をして食べさせて......という流れを考えると、週に何回かの外食はリフレッシュになりそうだ。
それに、外食は夫婦の会話が生まれるのも良さそう。家だと他の家事があったりなんかして、なかなか一緒のテーブルで夫婦で会話するっていうのも難しそうだし。
Cさんの旦那さんはそこまで考えて誘っているのかもしれない。

そしてちらりと出た家計の話。詳しく聞いてみると、結婚と同時に口座と家計用のクレジットカードを作ったそう。
家に関係のあるものはそのカードで購入し、その口座から引き落とされる。
口座への入金は、家賃とか水道代とかその年の予算をCさんが作り、「今年は私はこのくらいの割合で支払います」と伝え、それを年初に1年分振り込んでいるらしい。なんという合理的なシステム。
これなら無駄遣いもしなくて済みそうじゃないですか。

そして、羨ましい話が!
Cさんの旦那さんは海外出張が多く、Cさんたちはそこに便乗して子連れで海外旅行もよく行っているそうなのだ!
うううううう羨ましい......!
いや、でも子連れで海外って大変!?

「妊娠中も、お医者さんの許可のあるときは海外も行っていて。息子との最初の旅行は、5~6ヶ月で行ったシンガポール。エア代って2歳までは無料なの。そのころなら育休中だから、その時期に海外旅行するひとたちって実はすごく多いんだよね。だからCAさんたちも扱いに慣れてて、すごく楽だった。航空会社でいうと日系より外資系のほうが優しい印象がする。でも深夜便で行くことが多いから、寝てる人も多いし、泣かれちゃうとすごく困って。うちの子は乗り物好きだから、だいたい泣かないんだけど、一度ずっと泣きやまない時があって、そのときはトイレに籠ったりすごく大変だった。大きくなってからはなるべく眠らせるように、出発前にロビーを何回もダッシュさせたりしてるよ(笑)」

今まで行った国は、上海・シンガポール・韓国・香港、シンガポールを拠点にタイやバリにも行ったそう。
仕事の関係でアジア圏が多いそうだが、子連れのアジア旅行は実際どうなんだろうか。

「すっごく、おすすめ。国内旅行よりぜんぜん、気楽。どの国も子どもにすごく優しいし、お店に入るときもダメって言われたことはないし、みんなニコニコしてる。とくにシンガポールはおすすめで、中華圏だから子どもが大好きだし、街が綺麗に整備されてて子どもと行けるところが多い。ナイトサファリとか子どもが飽きない場所も充実。都市部からリゾートに行くこともあるけど、街がコンパクトで移動も楽だし、海とホテルが近くて歩いて回れる。あとは国内旅行より、ぜんぜん安いしね(笑)」

国内旅行よりも気楽とは思っていなかった! 子どもに対して優しい国が多いのか~、いいなあ、それは。
子どもが泣いたり騒いだりするのを温かい目で見守ってくれる土壌があるのかな。日本だと公共機関やお店を利用するとき、母親が「ごめんなさい、ごめんなさい」という感じになってしまいがちだけど、空気が変われば不必要に謝らなくて済みそうだ。

うう~ん、Cさん一家、めっちゃいいじゃないですか。
旦那さんともうまくいってそうだし(なんといっても旦那さんの愚痴が一つも出てこない!)、旦那さんと仲良しのままずっといることは可能なんだ!
けっこう難しいことだと思っていたから夫婦で仲良しというだけで凄いことのように思えるよ。


「子どもを作る」っていう計画がないと、ことに及べなそう

そんなCさんたちにも悩みはあるそうで、それは2人目問題。

「保育園の同じクラスも、2人目産みますっていうひとがけっこう多いの。だいたいお母さんたちは同い年。みんな歳だから早めに2人目っていう感じみたい。
私自身一人っ子だから、2人いるのって面白いだろうな、もうひとりいてもいいかなって漠然と考えたりもする。お医者さんにも、2年ぐらい離せば体は大丈夫って言われたし。でもやっと社会生活に復帰していろいろ戻りだすと、もう一度最初から子育てってちょっと大変だなとか思っちゃうのが本音......。

旦那さんとも2人目については話したことあるけど、なんというか......、やっぱりもうセックスレスなんだよね。
子どもがいると、そういう感覚がどんどんなくなっちゃう。わたしのほうも「女」になかなかなれなくて。うちの旦那さんも一度そういう時期を終えたら、あんまり貪欲にいかないタイプで。だから「子どもを作る」っていう計画がないと、ことに及べなそうなの。
でも、これはどこの家にも共通する悩みな気がする。2人目を産むってことは奥さんの体を長い間拘束しちゃうから、旦那さんからもおいそれとは言えないみたいで。だからこそ2人目のきっかけって奥さんから「そろそろ2人目」って言うことが多いみたい。でも私からはなんか言いにくいし、生殖のためだけのセックスをしたことないからなんか恥ずかしいし、どうしていいかわからないの(笑)。

でも生殖行為じゃない普通のセックスにいたっては、そうとう頑張らないとそのムードにすらならないかもしれない......。子どもっていう、他にすごく楽しいことができちゃったし、もう信頼してるっていう感じだから、性的な欲求に進まないなあ。それに旦那が子どもといることをエンジョイしすぎて、私とふたりでなにかってのはそもそももうあんまりないんだよね。

私たち夫婦の感情は、たぶん結婚前とあんまり変わってない気がするけど、あんまりロマンチックにはならない。しいていえば旅行のときなのかな! だから旅行に行くってのもあるのかも。ホテルも少しいいところにして、お酒も飲んで。やっぱり旅先だからちょっと盛り上がるし、好き合ってるっていう感じは実感できる」

やっぱり、セックスレスは日本のどの家庭でも見られるポピュラーな状態なんだろう。子どもがいなくたって、長いこと付き合ってるカップルはセックスレスになっていることも多いし。子どもを作る気がなくて、お互いセックスレスに不満がないなら特に問題というわけでもない気がする(長く付き合ったカップルからするとセックスもコミュニケーションのひとつだろうから、他のコミュニケーションで満ち足りていたら、そこまで問題ってわけでもないと思うんですよね。ただ、無理せずセックスでコミュニケーションを取れるのであれば、それはそれでとても良いことだとも思う)。

問題はセックスレスであることではなくて、そこから派生する「2人目どうしよう?」なのかもしれない。
1人産んだからといって、2人目を自然に産みたいと思うかっていったらなかなかそれは違うんだ。
産んだからこそわかる、大変さというのも頭をかすめるだろうし、せっかく復帰した職場をまた離れなきゃいけないのもなかなかに辛いだろうし、2人育てるとなると金銭的な負担もかなりのものだろうし。

自分の中でそういう葛藤があるとなかなか「2人目が欲しい! 子作りをしよう!」と先陣を切って言えないだろうし、旦那さんからもなかなか言えないんだろう。

無理して2人目を作る必要もないと思う。

でも、1人目を産んだとて、2人目を悩むという、また悶々タイムが待っているのかと思うと、ほんと女ってのは一生なにか悩み続ける生き物なのだなあと思う。
スパッと自分の人生はこう! ってなかなか決められないだけに......。