私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

犬山紙子 イラスト=箕輪麻紀子

第9回 たくさんの子育てサービスを使いこなすワーキングママKさん
~(29歳・大手企業勤務・2歳の男の子)の場合~―2

使っている制度は、保育園、ファミリーサポート、
シッターさん、タスカジなど

「私は職場復帰したときに他に頼れる人がいなかったので、まず『ファミリーサポート』に申し込みました。これは、子育てを経験してる近所のおばちゃんとかが、子どものお迎えに行ってくれたり預かってくれたりする有償ボランティアみたいなもので、1時間800~900円です。どこの都市にもあるサービスだと思いますが、うちの区の場合、希望者が多すぎて申し込んでから担当の方が決まるまで3ヶ月くらいかかりました。いまは毎週木曜に1時間お願いしてます」

そんな制度もあるのか! しかし、その方との相性もあるだろう。私だったら、家庭の事情に踏み込んでこられたらたぶん嫌だろうなあ......。

「それがけっこう分かってくれる感じです。遠くの親戚より近くの他人だからって、私の状況も分かってくれて。区のサービスなので研修もしっかりしてたり、ファミリーサポートも10年以上やってる方なので安心できる感じですね。保育園の延長保育をマックス19時15分まで使って、おばちゃんに保育園にお迎え行ってもらって、ご飯は彼女の家で手料理を食べさせてもらって、私が20時15分にお迎えに行きます。彼女も何人か他の子どもも見てるので、ときには他の友だちと一緒にご飯を食べてることもあって、それもいい感じですね。ちなみに食事代は300円の実費。今日はかぼちゃ食べなかったけど、どういうのなら食べてくれるかなあとか、相談してくれたり(笑)」

食事代300円とはありがたい......! でもでも仕事が遅くなったり、たまには飲み会だったり、その時間にも帰れないこともありそう。

「そういうときは、そこからシッターさんにつなぎます。おばちゃんの家まで迎えに行ってもらって、シャワーと寝かしつけをお願いして。鍵は常に保育園の鞄に入れてあるんです」

おお、登場しましたシッターさん。しかし、シッターさんってどうやって探すんだろう? それに高いイメージもあるけども、気軽に使える感じなんだろか。

「シッター会社に2社登録しています。『キッズライン』と『スマートシッター』。結構新しいサービスで1時間1500円くらい、これはだいぶ安い方だと思います。今までのシッター会社だと、入会金があったり、3時間1~2万円ぐらいの高い印象だったんですよ」

それは高い!!!! そんなの頼めないよ!!!
その金額だったら体調が悪かろうが、寝られなかろうが、自分を酷使してしまう人のほうが多いだろう。
少しずつ良くなってきてるんだ。
でも1500円はシッターさんの取り分を考えるとギリギリの値段だろうし、ユーザーにとってはそれでも使うかどうか悩む金額でもあると思う。

「最近のサービスはシェアリングエコノミーみたいな感じで、女子学生さんや、保育士さんを辞めた方が登録していて、仲介手数料が数%発生するみたいなシステムですね。登録してる人のプロフィール画面には顔写真や評価も載ってるから分かりやすいし、家から近いところに住んでるとか、何時までやってくれるかとか条件に当てはまる人を選べます。私は医学部の学生さんにお願いすることが多いです。でも最近は利用者が増えて前日でも予約が厳しいんですよ。だから常に何人かシッターさんを決めておいて、予定が分かったら早めに予約するようにしてます。『ここにタオルがあります』とか『寝かしつけはこうお願いします』とか引き継ぎも大変なので、できれば毎回同じ人がいいですね」

評価を見てシッターさんを選べるのはすごく良いシステム!
大事な我が子を預けるんだから、預ける相手のことを信用できそうって思えるかどうかはとても大切なことだろう。

「シッターさんには基本は23時ぐらいまでいてもらうのですが、遅くなりそうなときは終電までお願いしたり、終電をすぎたらタクシー代を負担してもっと遅くまでお願いすることもあります」

うう~む、シッター料金が安くなったとはいえ、3時間ご飯を食べに行くのに、シッター代が4500円。自分のご飯代が5000円、結局1万円になるのか......。

「そう!!! だから子どもを産む前と大きく変わったのが、これだけお金を使ってでも会いたい人とか、行きたい場所ってのがすごく重要になったことです。職場の流れで飲みに行くってことは、もうなくなりました」

そりゃそうだよなあ。今私が好きに人と遊べているのもとても贅沢なことなんだ......。自分に時間を作るために、お金を使う状況があるんだ。それに加えて、保育園代が2~3万円、ファミリーサポートが15000円。負担的にはどうなんだろう。

「忘年会など忙しい12月は全部で15万円くらいになったこともあります。ただ、うちの会社はベネフィット・ステーションという福利厚生に入っていて、シッターさんを使った場合は1時間300円を負担、ファミリーサポートは3000円以上使った履歴を送ると1ヶ月3000円負担してもらえるんです!」

ほほう! 私は会社員ではないので、こういうことはぜんぜん知らなかった。育児支援が組み込まれた福利厚生、当たり前だけど整備されてるんだな。全企業に導入されたらよいのだけど......!

「あとは『タスカジ』っていう家事代行サービス。週に1度3時間来てもらって、1回6000円もしてないかな。これもネット上で来てくれる人を探してます。私がお願いしてるのは、仕事に行ってる間に、部屋の片付け・掃除洗濯・料理の作りおき。やっぱり19時に帰ってきて、ご飯作って、お風呂に入れて、寝かしつけまではできないんですよ! その作りおきの料理を小分けに冷凍して、毎日食べてます(笑)。来てくれるのはけっこう主婦歴が長い人で、ご飯もすごく美味しいんですよ。料理が得意な人とか、掃除が得意な人とか、子どもと遊んでくれる人とか、条件で選べて便利ですよ。もちろん子どもと遊んでもらう時には、親が同伴しないとダメなんですが」

なんですとーーーー!  週1でそれだけやってもらえたら、生活はぐっと楽になるんじゃないか。
これはみんな知っておいてほしいサービスだと思う。

「ただ、使わない人たちってやっぱり旦那さんの理解が得られないとか、家に知らない人が来るのがちょっと、とか、それがハードルになってるみたいです」

ああ、そうか。これはシッターさんを使うかどうかもそうだろう。
家に人が来るのが嫌な人ももちろんいるだろうし、自分で家事はやりたい派の人もいるだろう。旦那さんが嫌がる場合もあるかあ......。
私は絶対使いたいけれど......。

それにしてもこのKさん、めっちゃ情報を持っているではありませんか。どうやって情報を仕入れたのだろう。

「職場復帰の前に、とにかくネットで自力で調べて。区役所に聞きに行っても回答ないんですよ! 一時預かりなら保育園でやってますけど......とかのレベルで(笑)。働いてるお母さんたちのコミュニティが最近はけっこうあるので、そういうイベントに行ったりもしました」

やはり自力! 最後に頼れるのは自分か......!


自分の時間はいろんなサービスを使えばけっこう作れる。
でも、実は割り当てられる仕事が暇すぎて死ぬ。

そこでKさんに最後に聞いてみた。
これだけのサービスをいろいろ使いながら、職場にフル復帰して2歳の男の子を育てるというのは、「忙しくて死ぬ......」なのか、「けっこう余裕ある!」なのか、どっちなんだろう。

「自分の時間はシッターさんやいろんなサービスを使えばけっこう作れるんですが、実は仕事が、暇すぎて死ぬ......なんです。会社自体が古い体質で、自分たちの上司も基本的に奥さんは専業主婦だから、『結婚します』とか『妊娠しました』とか報告すると、まずは「仕事、どうするの?」みたいな。
独身時代は仕事が好きで働くことにやりがいを感じて毎日23時くらいまで働いてました。これからってときに思いがけず妊娠しちゃったんですが、それでも仕事が形になっていたので、復帰しても戻る場所があるとは思ってたんです......。
結局、同じ部署に戻ってみたら、仕事がなにもなくなって......。それが一番辛いです。
仕事に戻るために、こうやってサービスを使って環境を整えてますって復帰前に上司にも話してきたんですけど、やっぱり古風な人が多いので『そうはいっても大変だから、まずはゆっくりね』みたいな感じで。なんの担当も振られなくて......。そうなるとだんだん働くことへの意欲もなくなってきそうで。ここでどう踏みとどまるかって、本当に悩みます」

そんな......、そんな落とし穴があったのか。
仕事にやりがいが持てなかったら、起きている時間の半分を費やす仕事の時間が苦痛になっちゃうではないですか。
私もまったく興味もなく向いてもいないバイトをしていたときは、どれだけ楽でも時間が経つのが永遠に感じられて地獄のようだった。
逆にやりたかった編集者の仕事のときは、ぜんぜん睡眠が取れなくても、給料が安くても、興味のないバイトより毎日がすごく楽しかった。

「先輩の女性社員には、妊娠するまでは営業部でバリバリ仕事して働きまくって実績もある方だったんですけど、お子さんが生まれたら内勤の仕事に変えられてしまって。それでやる気が削がれて、2人目が生まれたときには時短で言われたことだけやるっていうスタイルになっちゃった人もいます。
もちろん職場を追われるってことはなくて、『子どもが小さいうちは家庭を優先して、また成長したらバリバリやれる時期がくるんだから』って言われるんですけど......。そのバリバリ働きたい時期っていうのが、私にとってはまさに今なんです。自分が楽しいときって、仕事して実績ができてきてってときなんです。それが急に初期化されたというか、いきなり新入社員になったみたいな感じで、本当にもがいています。
これはうちの会社だけじゃなくて、働く意欲のあるお母さんたちは、みんな悩んでるんじゃないかなあ。
すっごく疲れてるときは、こういう状況になっちゃったのは自分が仕事ができないからなんじゃないかと、責めるようにもなってしまい......。だから最近は、ワーキングマザーの交流会や、自分が興味がある人のセミナーに行ってみることも多いです。色々な人の生き方を見て、今は自分の生き方を見つめなおす時期なのかなって思うようにしています」

働くための制度のことばかり考えていた私は、Kさんのこの訴えがグサリときた。
私ももし、子どもができたとして、やりたい仕事ができなかったり、相手が遠慮して仕事を振ってくれなくなったらと思うと発狂しそうだ。
「くう~私がやりたかったあの仕事、子どもを産んだことによって、あの子がやってるう~!!」なんて嫉妬に狂うかもしれない。

それでも私はまだフリーだからマシかもしれない。
企業に勤めるお母さんたちは、実際そういう現状の人もたくさんいるんだろう。
制度を整えたって、やりたくない仕事や自分がやりがいを感じない仕事をさせられたなら、それもそれでKさんの言葉のとおり、
「仕事が暇すぎて死ぬ......」
なんだろう。

ううむ、ここでまた新たな悶々ポイントにぶつかった......。子育てしながら働くというのはなんと険しい山なのか。

しかし今回はKさんにお話を聞けて本当によかった。
旦那さんが海外に単身赴任中で近くに頼れる人がいないKさんが、フルタイムで働きつつ様々なサービスを使うことで「自分の時間は持てる」と言ってくれたのは大きな勇気になった。

私が予想していたよりもたくさんの子育て・家事のサービスが充実して進化していた。どれも人気だし、シッターさんとなるとそこまで気軽に頼める金額ではないけど、自分がどうしても辛くなったり、日々悶々として過ごすのなら私はこれらのサービスをどんどん頼みたい。
子どもを育てているからといって、自分の人生を生きてはいけないわけじゃない。
自分の心をケアする時間はお金を払ってでも維持したいなあ、そんな風に思ったのでした。

次回は職場復帰2年目のワーキングマザーに話を聞いてみます!