第13回

ホカツの遠吠え 別の家族像を見つめる手前で

13-1.jpg次女N美が生まれて初めての家族4人での旅行@山中湖の一場面。2018年9月。

 読者のみなさん、新年あけましておめでとうございます!
 一昨年の11月にスタートしたこの連載も、早いもので1年2ヶ月が経過し、今回で13回目を迎えます。この先、本当にどうなるかわからないのですが、本年もどうぞ引き続き、われわれ家族の動向を見守っていただければ幸いです。

■ちょっと振り返り!
 2017年の年明け、僕の仕事の都合で乗り気ではない妻にお願いし、当時3歳の長女M子とともに東京での生活へと臨むも、次女N美の妊娠発覚。
 それまで滋賀県大津市での家族との生活(月の4分の3くらい)、東京各地での単身生活(月の4分の1くらい)という2拠点暮らしを数年続けていた僕はかなり悩んだけど、もうひとり家族が増えるのであればなおのこと、この生活を続けるよりも「エイや!」で東京に家族みんなで行ってしまった方がええのではないかと、今振り返ればかなり無計画に(多少シミュレーションはしたんだけど)もともと仕事で縁を築いてきた東京都小金井市へ移住。無論覚悟はしていたが、やはりそこには「ホカツ」という厳しい試練が待ちうけておりまして。

 しかし最初から家族全員で住むのではなく、妻はN美の出産を控えていたので、M子とともに新潟県妙高市の実家へ3ヶ月里帰り。当時年少さんのM子は地元の保育園に一時入園。その間、僕は東京でひとり、これから始まる新生活へ向けて、M子のホカツを開始。
 たまたま小金井市に認可の新設園「ニコちゃん保育園」(仮称)が開設されたばかりで、0~1歳児はもちろんいっぱいだけど年少さんには空きが! そこへ見学に行き、新潟からM子を1日東京に連れてきて一緒に面接に行って滑り込むように入園したのでした。
 そうこうしているうちに里帰りが終わり、3ヶ月になったN美も加わった新たな家族を、新たな土地で迎えるという、「未経験尽くし」の2018年がスタートしたのが、そう、ちょうど1年前のことなのです。

 N美のホカツは、当時、妻の仕事が僕の仕事の補助的なものがメインだったので、「N美にしばらくは家で過ごしてもらうか、とはいえ仕事もあるので保育園に入っていただくか......」と悩んだこともあり、完全に出遅れてしまった。
 もちろんM子と同じ保育園に入ることは叶わず、年度をまたいで6月にたまたま認可外(認証保育所 ※1)の「ポコポコ保育園」(仮称)に1名空きが出たので見学に行き、なんとかそこにお世話になることに。かくして(都会ではもはや当たり前ともされる)兄弟姉妹の別拠点送り迎えをスタートさせつつ、妻も東京で仕事を着々と増やし、僕もありがたいことに以前に増して表舞台に立つことが多くなる。
 「東京に行ったら、以前より東京にいることが多くなって出張が減るかな」という予想は見事に外れ、むしろ全国各地への出張が増え、大阪、福島、北海道、静岡、福岡などなど、月の半分近くは別の土地の布団で寝ている(冗談でなく、朝起きたら自分がどこにいるのかわからないことが度々ある)という生活に。

 東京にいるときの平日は僕がM子の、妻がN美の送り迎えを担当。土日のどちらかは仕事を休んでM子を習い事に連れて行ったり、家族みんなで買い物に行ったりという感じだったのが、9月くらいからそのペースも崩れ始め、当然その負担は妻にのしかかる。
 M子N美両方の送り迎えもとなれば、2km以上離れた両園を行き来するわけで、さすがに酷。そんななか、次の10月~11月(新年度に向けた)のホカツ戦争は万全を期して「兄弟加点」と「認可外(施設を利用)加点」をもって、「これでおれたち戦えるで! N美をニコちゃん保育園に転園させて、姉妹一緒に過ごしてもらおう!」と意気込んでいたのも束の間、「えっ? そんな殺生な......」という事態に。

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■頑張って「認可外」に入れたのに「育休・産休」の方が加点高いやん問題
   ──featuring 妻の遠吠え

 僕ばっかり書いていてもリアリティがないので(僕の連載やからそんなことないかもしれませんが......笑)、ここで妻に登場してもらいます。妻が友人限定で2018年10月9日に公開したフェイスブックの投稿を以下、そのまま転載します。

-------(転載ここから)-------
【保活 来年度の認可園入園 不戦敗になりそう!くーーー!】
 あまりにもやりきれない気持ちなので投稿。長いです。
 認可外に通っている次女ちゃん(0歳)を来年の4月に認可園、できればお姉ちゃんと同じ園に入れたいなぁ、まあ、きょうだいだし、今認可外入れているし、ポイント的にいけるでしょ~。とあまり何も考えずに10月から配布されている市の来年度の入所案内をもらう。
 小金井市は都内でも屈強の保育園入れない地域。1歳児の入園決定率はなんと52%!ということもあり、あらゆる情報(入園できるポイントのボーダーラインや各園の倍率など)を随時公開しています。
 この週末によく読んで進めようと思っていたところ、なんと盲点! 私のような自営+認可外にすでに入れている人はどう転んでも太刀打ちできないことになっているでわないか!

1. きょうだい加点がない(同ポイントの優先項目にはある)
2. 認可外へ入園しているポイント +5
3. 育休・産前産後休を現在取得中のポイント +10

 興味のある方は参考記事としてリンクのページを読んでほしいのですが、、、
 この3番の項目は育休制度のない自営業者には全くもって関係のない、しかしこの関係ない項目が10ポイントってどういうことなんでしょう?
 そして1歳児入園にあたる入園決定のボーダーラインのポイントはこの+10がつく(両親週5日フルタイム勤務100+100で200ポイント)210ポイント。。。。
 我が家はどうあがいても205ポイント。。。。
 というわけで、この時点で決定可否はわかってしまったわけです。現在育休・産休を取っている人と同じ舞台にさえ立てない。
 これ、2年前から変わっていないっぽいんですよね。
 しかし、小金井市、サラリーマンで会社勤めの方が育休・産前産後休取得、ゆっくり休んで復帰する人を完全に優遇する制度にシフトしてしまった。ちなみにリンク記事にある江東区は2番と3番は同ポイントなんです。これだったら同じ舞台には立てるんですが。
 これって暗にしっかり仕事して確実に税金おさめてね☆ ということなんだろうか。自営業者は危うい?? 財政難の市がとった選択がこれか。こうなると1歳児の保護者は全員サラリーマンってことになってしまって、とても気持ちが悪い。もちろんひとり親も同様。なんとか認可外に入れて早く仕事復帰した人は認可外に入れれているんだからイイでしょ? 的な方向のよう。
 くーー!思うことはたくさん。保育料、我が家の場合はざっと計算しても月に1万円負担多いし、家から2人の保育園は東西に1km強ずつ離れているから荒天の送迎は苦しいし。
 政府は多様性だ、働き方改革だ、と言っているけど、保育園激戦区の自治体の出した一旦の答えは真逆をいっているのでした。この件、苦情として市に言おうとは思っているけど、市は働き方のマイノリティを排除していることは一目瞭然。町工場や個人商店などが少ない地域だからこれを思い切ってやってしまうんだろうな。
 この2日間くらい怒りがわきあがってどうにもストレスでしたが、どうにか気持ちの転換をはかっています。
 一番の盲点はこれについて調べられていなかった自分たちにストレスを感じています。でも事前にわかっていたら小金井市に引っ越してこなかったのか...。判断が難しいところです。

https://dot.asahi.com/aera/2017012300154.html(保活戦線 ポイント基準の変更で早期復帰がムダになる?)
-------(転載ここまで)-------

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■そこに「ポリシー」はあるのかい?
 で、この投稿の直後、僕は小金井市役所に問い合わせをし、相当長く話し込みました。最初に出られた担当者に、このことを聞いてみると......。

 「入れていない方をとにかく優先するし、これが国の方針でもあって。でもおっしゃることはよくわかるので、認可外(施設を利用)加点と育休・産休加点を同点にするべきだと、私も個人的には思うんですが、上の判断で......」

 と言われてしまい。
 認可であろうが認可外(N美が通っている認証保育所など)であろうが、それで保育料が安くすもうが高くすもうがそれはさておき、「入れていない」ということが優先されるのだと。だから加点に差をつけているんだと。でもそうなるとですね、そもそもフリーランサーは休むと仕事が入ってこなくなったりする状況なわけで、仮に「自営でも就業規則つくって育休制度つくってもらってもいい」と言われたとしても、それはまったく現実的でないと思うんだな。だから僕はこう質問しました。

 「育休制度をつくれるような環境ではなく、やはり少しでも早期に復帰して働かないといけないなかで、僕らは運良く次女に認可外に通ってもらうことができましたが、もしこれで入れてなかったとしたら、あなたのおっしゃる"保育に欠ける"状態だったとしたら、育休を使っている人と同じ立場ですよね? でも実際は育休ですらないので、点数的には全然差が開いてしまうんですけど、これって結果的にフリーランス・自営業者を排除する構造になっていませんか?」

 すると、答えが返ってこなくなり......。
 「すみません。上の者と話し合って後ほどお電話折り返します」という状況にあいなりました。

 その後、上司の方から折り返し連絡があり、まず小金井市としては国の方針に「純粋に」従って、優先順位としては「入れている/入れていない」を重視すると。そのうえで、僕らのような意見も課題だと認識しているので、対応を今後考えていきたいという回答になったわけなんだけどね。

 で、この「純粋に」ってのがクセモノで、もし国の方針に拘束力があるというか、それが本当に「正しい」ってことなら、他の自治体も同じ考えを採用して認可外(施設を利用)加点より育休・産休加点の方を高くしているところが多いはずだけど、どうもまったくそうではないことがわかってきたのだ。

 ここからは、僕が小金井市でつながりができた、とても柔軟な姿勢で保育や教育の問題に取り組まれている市議会議員の白井とおるさんとこの件について意見交換した2018年10月末に、三多摩エリア26市の調整指数を調べていただいた(本当にありがとうございます!)データ(プラス僕自身も2018年12月に追加で確認した)をもとに書いています。

 例えば、小金井市に隣接する三鷹市、武蔵野市、西東京市、小平市、国分寺市、府中市の平成31年度入所の案内を例にとると、

○小金井市
 認可外(施設を利用)加点:+5/育休・産休加点:+10
○三鷹市
 認可外(施設を利用)加点:+2/育休・産休加点:項目見当たらず
○武蔵野市
 認可外(施設を利用)加点:1年以上利用で+1/育休・産休加点:育児休業取得1年以上で+1
○西東京市
 認可外(施設を利用)加点:+5/育休・産休加点:+5
○小平市
 認可外(施設を利用)加点:3才児クラス以上の申し込みの場合+15/育休・産休加点:項目見当たらず
○国分寺市
 認可外(施設を利用)加点:+3/育休・産休加点:項目見当たらず
○府中市
 認可外(施設を利用)加点:3ヶ月以上6ヶ月未満有償で利用+2、6ヶ月以上有償で利用+3/育休・産休加点:項目見当たらず(ただし、一旦退所後、育休を経て再利用は加点あり)

 隣接市を見るだけでも、実は小金井市だけが「育休・産休加点」を明らかに重視しているのがわかる。また三多摩26市のうち、小金井市と同じように「育休・産休加点」を「認可外(施設を利用)加点」よりも明確に重視しているのは、昭島市、東大和市、武蔵村山市のみ。

 こうやって比較してみると、「(認可/認可外ともに)"入れていない"という状況を重視するのが国の方針。だから認可外に入れている人よりも、育休・産休加点を高くする」という小金井市の方針は最終的には「一自治体の独自の判断」であって、「国の方針だから」では理由の一部にしかならない。
 百歩譲って、平成27年の「子ども・子育て支援新制度」(※2)以降に、国から何かしらの通達で育休世帯を優先していくような流れがあって、それに「真っ先に」小金井市が従って市民に「メッセージ」を示しているという見方もあるのか? そこまで考えているようには到底思えないんだけど......。大切なのは、その選択をした理由を一自治体として明確に示してもらうことだ。

 電話ではまったくその理由に触れられず、結局押し問答を繰り返す状況になった。「じゃあどうすればいい?」ということも現実的には知りたいのだが、その前にそもそも「なぜそうなっているの?」ということをやっぱり知りたいのだ。平たく言えば「ヘイユー! そこに"ポリシー"はあるのかい?」と。
 そうでないと、市民はただ漠然とした理由(しかも担当者により「"個人的"にはそう思う」などと回答にバラツキがある)に、個々の家族における保育のあり方、働き方が大きく振り回されてしまうではないか。

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■大切なのは「多様な働き方に対する想像力」を持つこと。
 一方で、「税制」という観点からすると考えさせられる指摘もあり。担当者から「あくまで世間話として聞いてほしいんだが」という前置きがあったのだが、10月~11月のこの時期に、夫婦のうちどちらかが、家族経営の会社や自営に「就職」するケースがたび重なると。
 つまり、「ホカツのために働いている状況をつくる(もっと悪く言えば働いていることにする)」という例が多数あるというのだ。
 また、自営業者がホカツ申請の際に、休みもなくフルで働いていると申請しても、給与面や社会保険までは保育課で実態をつかめないことを考えれば、これは「保育園」の問題だけでなく「納税」に関わる問題でもある。
 実際のところはわからないという前置きがあるが、明らかに担当者が言いたいのは、自営の人の一部は、申告上「うまいことやってる」というのが本音なんだと思う。

 また、認可と認可外の保育料の差は、認可外に関しては、うちは子供が二人いるから3万円出ているのだが、妻も書いているとおり、認可に預けられたときの状況と、現在の認可外の状況との差は月額1万円ほど。納税額を基準にした「認可園における保育料のランク付け」があって、うちのランクでそのくらいの差だけど、もっと低いランクになると、より認可の方が得になるし、もっと高いランクだと、補助をもらえば結局ほぼ認可も認可外も変わらないなど、それなりに認可でも保育料を払うことになるわけ。
 これはどこでも一緒だと思うんだけど、先の担当者との「モヤモヤぼやかしニュアンストーク」は、「このランク自体を、自営業者が確定申告の時点でいじれる可能性がある」ことを示唆していたんだと思う。つまり、保育料じゃないところの、収入と所得のところですでに操作できる余地が自営業者には多少はあるだろうと。ぶっちゃけ、確定申告をしている自営業者ならまぁまぁ「イタいところ」なのではないだろうか?

 その一方で、あるあるトークとしてよく聞くのは、「○○ちゃんのお父さん、えらく早く迎えにきているし、こないだ昼間に××スーパーで買い物しているのを見かけたけど、ほんまに仕事してんの?(保育に欠ける状況なん?)」というあの話。これが役所に結構あがってくるクレームらしい。「不公平だ」と。「私たちはサラリーマンで"ほんとに"保育に欠けるのに、なんかフェアじゃない」と。
 でも、一方で役所の担当者曰く、「最近は早く迎えにこられる方のなかに、サラリーマンの方も増えています。これは会社側がそういった時短勤務を導入し始めたからであって、どんな働き方であろうが、"あの人、もう帰っているから自営業者はずるい"みたいな話は見当違いだし、おかしいと思います」と。

 結局、30分以上話し込んだこの担当者とのやりとりで僕が最終的に感じたのは、問題は「保育」という領域以前のところにあるということ。つまるところ「多様で異なる働き方に対する想像力がお互いに欠けている」って話なんだと。納税のあり方に関しても、働く時間感覚や、生活との織り交ぜ方のバランスなども。
 だから「自営だから/サラリーマンだから」みたいな構図だけで、「希望する園に入れない」という問題は語れないところも多いし、そもそもの親の働き方の違いを認めたうえで制度上(便宜的に)「公平なルール」を保つという前提で行われる「ホカツ」が、かえって「多様性に対する無理解」を明るみにしてしまうというこのネジれた事態は、なんだか国様がこちゃこちゃ言っている「働き方改革」や「ダイバーシティ推進」の時勢とまったく足並みがそろっていない気がする。
 こんな一連のこと書きながらも、別に僕は単に行政批判をしたいわけでなく、担当者たちの努力だけではどうにもならない、市民それぞれの働き方・暮らし方にまつわる「通念」が、この問題の奥底に通奏低音のようにボワーンと蠢いている事態を、改めて自覚するべきだと思う、今日のこの頃なのです。

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■変化とサステナビリティの共存とは? 心が折れそうになる私たち!
 正直、こんなことをツラツラ書いていて、「俺は一体何を書いてるんだ!?」って思っています。まぁ自分で始めると決めて始めた連載だし(苦笑)、もちろんこれも仕事なので投げ出しませんが、ただ子どもたちと「家族をする」ってだけで、こんなに色々やらなあかんもんかと! ちょうど秋から昨年末にかけて、前述したようにたび重なる出張で家を空けることが多かったのとこのモヤモヤすぎるホカツが重なり、我が家にはうっすら、しかし確実に「ああ、なんとかこのしんどさから抜け出さないとな......」という空気が蔓延していくことに。
 ワンオペ状態が続いている妻に対しても「ありがとう」と「ごめんね」を言っているだけではもちろん済まないわけで。妻はある日、フェイスブックでこんな投稿をしていました。

 私が思うホカツ問題はさらに根深く、産後赤ちゃんに対して産院or健診での助産師さんなどは「成長を周りの子どもと比べてはいけません。前の日と比べて何ができたかで成長を喜ぶんです!」とホンワカ理想を述べてうんうんと疲れた身体で頷く母親たちを、いきなり保活というのは点数制でバッサリと当落つける。いきなり崖に立たされる感覚よね。産後で体調も整っておらず、睡眠不足でホルモンバランスも落ち着かない母親たちはそら~いきなり保育園入園問題という社会に突き付けられるわけですから、泣いたり羨んだり妬んだり怒鳴ったり行き場のない感情をぶつけてしまうわけです。(中略)
 それでもっとキツイのは入園できたとしても待っているのは壮絶な仕事と家庭との往復の毎日。入園当初は病気だ熱だで何度も呼び出し。勤務を減らしたくても減らせば保育の必要性は下がり保育園には預かってもらえないかもしれない......。(中略)
 夫と話し合うに、今回保活の限界をかんじたのでした。とはいえ、こうやって一つずつ情報公開したり意見したり記事にしたりして進めていくことが大事だなと痛感。
 ママ友同志で愚痴ったり、役所の担当者に吠えたってむなしいだけ。あっちがずるいとかそんな話するの誰だって嫌よね。
 なんとか自分の住むとこが住みよい街になりますように。引き続き申請書はしっかり作って申し込みます!

 「なんとか自分の住むとこが住みよい街になりますように」。そう。まさにそう願いながら、少しずつ新しい友人ができたり、小金井市の文化事業のお手伝いなどの仕事も入ってきている妻ではあるが、とはいえ、やはりN美の誕生と新天地(しかも彼女の苦手な東京!)というシチュエーション。徐々にわれわれの諍いも多くなり、そのしわ寄せが(N美が誕生して以降、やはり赤ちゃん返り的なこともあり、とにかくワガママで言うことをきかない)M子に対する理不尽な怒り方という形になって子どもとのコミュニケーションに現れたり......。

 些細なことに聞こえるかもしれないが、僕が長期出張中に、N美が卵ボーロを食べて顔が赤くなり下痢になったときのアタフタ(結局卵アレルギー確定)。娘二人をエッサホイサと自転車で保育園に送り届けたのちに家で家事をすませてひとりパソコンに向かって仕事をしているときに「こういう日常についてただただ話す相手がほしい」と押し寄せてくる寂しさ。
 妻は「もうちょっとなんだと思う。この生活に慣れるかもしれない」と言うが、そのあくる日には「やっぱり私、ここに住んでいる意味がどうしてもわからない」と言う。そしてそれに対して何もできない僕自身もまた移動しながら、出張先のホテルで寝ているときもそのことにずっと後ろ髪をひかれる日々を送ってしまったり。
 このままこの状況に目をつむってなんとか乗り越えられれば、それはそれで「あの時は大変だったね」で済む話かもしれないが、正直ちょっと自信なくなってきたなぁ......。ああ。

 そんななかで前回前々回と「核家族ではない形」について探ってきましたが、どうしたら「変化がありつつもサステナブルな家族生活」を送れるだろうかと、われわれも子どもが寝静まったのちに語り合うように。
 次回以降は、この連載の副題にある「どんな場所でも"親"になる」ための思索へと突入していこうと思います。

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※1 東京都独自の基準により設置された保育所。認可保育所よりも開所時間が長く、全施設でゼロ歳児保育を行うなど、共働き世帯などの都市型保育ニーズに対応している。定員・施設面積などの設置基準も認可保育所より緩やかで、A型(駅前基本型)とB型(小規模・家庭的保育所)の2種類がある。平成13年(2001)5月に制度発足。(『デジタル大辞泉』より転載)

※2 幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めるために平成27年(2015)4月にスタートした制度。①認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(「施設型給付」)及び小規模保育などへの給付(「地城型保育給付」)の創設、②認定こども園制度の改善(幼保連携型認定こども園の改善など)、③地域の実情に応じた子ども・子育て支援(利用者支援、地域子育て支援拠点、放課後児童クラブなどの「地域子ども・子育て支援事業」)の充実、の3点が主なポイント。