第4回

年少さんM子の途中入園保活日記 その2

■N美、ようこそ
 昨年11月2日、2855gの元気な女の子が誕生しました。次女N美さんでございます。この連載を読んでハラハラドキドキしながら行方を見守ってくださっていた読者のみなさんにも、改めて御礼申し上げます。多謝!

 予定日は10月28日だったのだが、なかなか生まれず。11月1日、とりあえず様子を見に、新潟県妙高市の妻の実家へ移動。パンパンに膨らむお腹にひたすらエーテルを送り続けたり(わからない方は映画『リリイ・シュシュのすべて』を参考に)、古風に梓みちよや中尾ミエの往年の赤ちゃんソングツートップをファルセットで歌ってみたりするも反応がなかったのも束の間、翌日早朝からじわじわ陣痛が始まり、いざ産院へ!

 ......が! 「立会いは1人」という院のルールもあり、まずはばあば(義母)が一緒に向かうことに。
「あんたがおっても頼りないし、背中さするのとか、母さんの方がうまいから」という妻のたっての希望......。
 それで、分娩のタイミングが来て一報をもらったら義母と僕が交代するという約束をして、なんとか立ち会わせてもらったのでした。いやいやそりゃもう今回も立ち会えてほんと良かった。妻、ほんまにようがんばった! そしてN美、ようこそこの世界の片隅へ!

■M子、希望園見学のヒヤヒヤ劇
 次女N美がやっとこさ生まれ、大きな山場はクリアしたものの、目の前に立ちはだかるお次のお山。里帰りを終えて東京での生活が本格的に始まる前に、11月生まれの4歳(現在年少さん)の長女M子のホカツが正念場です。

 前回も書いたけど、2018年1月からの途中入園を目指して、とある新設園、ニコちゃん保育園(仮名)1園に絞り込んで(絞り込まざるを得なかったんだけど)見学を申し込む。見学日は12月1日に決定。さすがに見学段階で、妻とM子を新潟から連れ戻すのは難しく、とりあえず僕一人で行くことに。

 ちなみに毎月「1日」は、小金井市のホームページで「保育施設等の募集状況」が更新される日だ。11月1日時点では、ニコちゃん保育園にはもちろん空きがあったが、12月1日の見学当日にも念のためホームページで最新情報をチェック。
 しかし午前の時点では更新されていなかったので、見学前にまずは役所に直接確認に行くことに。窓口ではすでに最新版の情報があり、担当者様が親切丁寧に「今月も空き状況は大丈夫ですねぇ。へぇ、今日見学なんですねぇ。うふふ」ってな緩やかな空気で対応してくれたのだが、「じゃあこのあと行ってきます!」と挨拶してエレベーターに向かっていたら、さっきとは打って変わってすごい剣幕で走ってくる、先ほどの担当者様。何やら手にメモ用紙を持っていて、一緒にエレベーターに乗り込んで来たのだ。えっ!? なになに!?

 「すみません! 実はいまデスクに戻ったらこんなメモを上司から渡されて......」と何やら困惑気味。そこに書かれていたのは(一字一句一緒ではないが)「ニコちゃん保育園、3~5歳児クラスの募集ゼロでお願いします」といった内容。
 僕も全然意味がわからず、ちょうど昼時で「さぁ飯にするべ」って平和な感じを漂わせている他の役人様の前でコソコソ謎のやりとり。

 アサダ「え!? なんですか? 空いてるって話だったじゃないですか」
 担当者「いや、私もいまデスクに戻ったらメモがあって思わず走ってきちゃったんです......」
 アサダ「僕、いまから見学に行くんですけど、これってとりあえず行っても大丈夫なんですよね......??」
 担当者「ちょっと急なことだったので、まずは園の方に直接行っていただいた方がいいかと。いや、なんか私も状況がつかめておらず、すみません」

 チーン。1階到着。
(もうええわ! とりあえずようわからんけど、わて、行くわ!!)
 と心の中で何弁かわからん方言で叫んでみる。

 時間が来て実際にニコちゃん保育園に行ってみた。 電話でも応対してくださった園長先生をはじめ他の先生も「お待ちしてました〜」ととても温かく迎えてくださる。
(あれ......!? なんや、やっぱり大丈夫やん。大丈夫やん......ね......!?)
 と心の声が思わず出そうになるけど、ひとまずぐっと堪えて、園長先生に園の保育の方針や年間行事などについて説明をうけ、そのまま各クラス、各部屋、園庭などを案内していただく。

 ひととおりのガイダンスが終わって入園の手続きの話になった時点で、思い切って園長先生に聞いてみた。以下、こんな感じのやりとり。

 アサダ「あのぉ......さっきここに見学に来る前に、役所に寄ってきたんですが、その際に担当の方から募集がゼロになったかも的なことを聞いたんですが、入園は希望できるのでしょうか......?」
 園長先生「あっ! 先ほど役所に行かれたのはお父さんだったんですね。失礼しました。実はその直後にちゃんと受け入れられるように態勢が整ったんです。ご心配おかけしてすみません。大丈夫です!」

 おおぉぉ......、なんやったん? この心配。まぁとりあえずよかったけど。
 はっきりはおっしゃらなかったけど、要は保育士さんの配置基準を満たさないといくら空きがあっても受け入れができないので、その手配をなんとか確実にできた、ということなのだろう。いや、ほんとに保育士さんの確保って各園苦労してるんだなってリアルに感じつつ、ひとまずお礼を言って園を後にした。なんてヒヤヒヤさせられる一日だったことか......。

■見えてくる保育の特徴
 見学が終わった直後に新潟の妻とスカイプ緊急会議。まず園の特徴を共有。特徴といっても分析できるほどの知見を持ち合わせていないので、どうしてもM子がこれまで通っていた園との比較からしか語れないわけだけど、何がどう違うのか。

 まずこれはいいなと思った点は、お散歩・外遊びが多かった点だ。大津の園のときの不満は「お散歩がほぼない」ことだった。園庭では遊ぶけど、その遊具の開放の仕方も結構制約があって、とにかくリスクヘッジ感が前面に出過ぎ。子どもたちに万が一のことがあってはいけないという気持ちはありがたいし、わかるのだけど、園内だけでは味わえない外的環境と関わる時間──自然や街並みから心地よさを感じたり、街ゆく人たちとコミュニケーションしたり──がないことは、やはり子どもの成長にとってもったいないのではないか、と常々感じてきたのだ。

 あと、M子の課題として、とにかく長時間歩けないということがあり。ちょっと歩いただけで「パパー! だっこ!」となって「あかんで! まだ全然歩けるやろ〜!?」と言ったものなら、「うわーーん!! だっこ! だっこ! だっこぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」ともう4歳にもなるのに狂ったように泣きじゃくるので、まぁさすがに最近ちょっとはましにはなってきたが「これはとにかく楽しく歩いていただく訓練をしないと......」と切に感じており。
 ニコちゃん保育園では、大人の足でも結構かかる地元の大型公園まで毎日のように行っているので、こりゃさすがのM子も鍛えられるだろうなとそこは大いに期待。

 次に、異年齢交流が基本にあること。クラスは年齢別に存在するが、散歩に行く、室内にて玩具で遊ぶ、絵本の読み聞かせを体験する、こういったひとつひとつがクラスで行われるというよりは、その時々の子どもたちひとりひとりの関心に合わせて、年齢を混ぜながらその場でグループを作って行われるといった感じ。
 これも大津のときはあまり見かけなかったような気がする(気づいてなかっただけかもしれないが)。大津の園のときは、英語やリトミックなど、わりとクラスでまとまって受けるカリキュラムが組まれていて、そういう意味では、(わかりやすい意味での)教育的な面で力を入れていた。その分、ぐちゃぐちゃ異年齢で自由に混じり合う外遊びなどが少なかったのかもしれない。

 さらにお次は、空間のデザイン。ニコちゃん保育園は屋内の設計がなかなかユニークで、随所にさまざまな遊びの機能が埋め込まれている。言葉では説明しにくいけど、ひとつの部屋のなかに中2階のような空間をつくって畳を敷き詰め、そこで寝転べるのはもちろん、その下の空洞スペースが暗闇の秘密基地のようにしゃがんだり這ったりしながら遊べるようになっていたり。
 また室内にもうひとつ小部屋があり、そこがごっこ遊び専用の空間になっていたり、2階のテラスが園庭の遊具と繋がって外に出られるようになっていたり、2階のある部屋とある部屋に小さな扉があり、その扉同士がハンモックで繋がるような構造になっていたり。とにかく室内でも子どたちが自由自在に身体を動かせるような機会づくりが、設計に落とし込まれているのだ。
 実際にその空間をより良い保育環境として使いこなすのは保育士の先生方のスキルにかかっているわけだが、空間ってまぁ物理的に目に見えるものなので、これは見学に来る親御さんにとっても引きがあるだろうなと想像する。

 と、いろいろ魅力的なところを述べたのだが、どうしても気になる点が。それは、M子にとって「先輩」がいないことだ。
 M子が入園できたならば、3歳児クラスの1月からの途中入園。園長先生に話を伺うと、4月以降に新しく4歳児(4月にはM子もそうなる)や5歳児を募集する予定があるとは言い切れない感じ。言わずもがな、幼児クラス(3~5歳児)、なかでも4〜5歳児は下から繰り上がってくる子が多く、新たに入園となれば大体が僕らのような転居組だ。
 だから新規園となればオープン初期はこれらのクラスの人数が少ないこともあるし、10月オープンとなれば余計にそうなる。その状況に加えて、ただでさえ確保が難しい保育士事情を考えれば、しばらくは幼児クラスを拡充しない方向に踏み切ることも容易に想像できるのだ。

 でも、目の前で先輩たちのふるまいを見て追いつこうと頑張ったり、それができなくて悔しがったり、露骨に力の差を見せつけられたり、自然と相手に尊敬の念を抱いたり、集団のなかで我慢を覚えたりするのはとても大切だと思う。
 だからこの点に関しては妻とも話し合った。しかしいまの状況で僕らに選べる余地がないのもまことの現実であり、先に述べたような良いところもたくさんあることを総合的に鑑みて、ニコちゃん保育園に入園申請をすることにしたのだ。

■ようやく。でも、これからこそ
 そこからは書類をひたすら揃える日々。僕と妻の詳細な勤務スケジュール表はさることながら、自営の個人事業証明や事務所の賃貸契約書類、大阪の勤務先の大学からは勤務証明書を発行してもらい、昨年の確定申告の書類を引っ張り出し、大津市に課税証明書を郵送してもらったり......。
 見学から5日後になんとか全資料を揃えて役所へ提出! 結果は1週間後くらいにわかるとのことで待ち構えておりましたら、ちょうど新潟に帰省しようと大宮駅で新幹線を待っていたところに役所から着信が。

「M子さんのニコちゃん保育園の入園内定が出ました。この時点では内定という扱いなので、以後は直接ニコちゃん保育園さんと面談の日取りなどを相談してください」

 おおおぉぉぉぉ......。ひとまず。ひとまず。
 年末にM子を新潟から東京に連れ戻し、指定の小児科で健康診断を受けさせて、診断書を持って園に連れて行き、面談。そして入園手続き。
 その日はM子とふたりきりで東京の家でディナー。何か作ろうかと思ったけど、なんだか僕の方がクタクタヘトヘトになってしまって......、「なぁ、今日はさ、レストランに食べに行こうか」と誘うも「いや! 家でパパと食べるの! オムライス!」となぜか具体的なメニューまで指定され。仕方なく近所のスーパーに材料を買いに行こうかと思うも、M子自身が腹ペコ限界。
 こりゃやっぱり今から料理してたら腹もたんわなってことで、さぁ冬の寒空の下、二人で電動自転車にまたがってスーパーの惣菜コーナーにオムライスを求める旅へ! しかし近場のスーパーは3軒とも全滅! コンビニも3つ回ってようやくファミマで見つけるという......。「一体何やってんだ......。しかしもう、情けない親だな、僕は......」と嘆いていると、「パパと夜のお散歩、楽しいねぇ! さぁそろそろ帰ろうか!」だって。

 いやはや、パパは本当にあなたに日々、育ててもらってますよ。えーっと......、
 次回に続く!