第3回

年少さんM子の途中入園保活日記 その1

 新年あけましておめでとうございます!
 現在この原稿、新潟の妻の実家で子どもたちが寝静まったあとに、みかんを頬張りながらコタツに入って書いてます。外はうっとりするような一面銀世界が広がっておりますよ。

 2017年12月28日のド年の瀬に、嬉しい保活ニュースが飛び込んできました。「厚労省 保活、自営業に不利な扱い解消を 自治体に要請」(毎日新聞)、「保育所入所、フリーランスの差別禁止 厚労省が通達」(日本経済新聞)とかとか。前回の連載内容とドンピシャな通達ですが、果たして各自治体はどれくらい具体的に動いてくれるのか。いま借りている個人事務所の窓から最寄りの役所が見えるので、ゴルゴ13ばりにエグいサイズの望遠レンズで注視したいと思います。

 そんなベタな保活動向を気にしながらも、より広い意味で子育てを軸に家族がてんやわんやしながら楽しくサバイブしていく様子を、真摯に伝えていければと思いますので、どうぞ引き続きご贔屓に。

■当面のライフスタイルとM子の行くあて
 2017年秋。次女N美の出産を10月末に控える妻と、長女M子の東京での「進路」について相談していた。妻には新潟は妙高市の実家でがっつり里帰りライフを決め込んでいただくとし、M子についてはひとまず、産前6週産後8週の期間、実家から車で5分ほどの保育園で一時保育の利用が決定!

 でも、目の前に近づくは、年明け以降の東京に戻ってきてからの生活だ。妻は、まず僕の自営の手伝いを契機に、少しずつ仕事に復帰する方向。そこで考えた作戦は、「M子は2018年1月から、3歳児(年少)クラスの保育園か幼稚園(延長保育使用)に途中入園/N美は、なんとか家や事務所で面倒みながら1歳児クラス以降に保育園入園を狙う!!」というもの。

 まず、読者のみなさんからの質問にあがりそうなのは、「なんでN美ちゃんは0歳児入園を狙わないの?」ってところでしょうかね。まぁそれも考えたのだよ。もちろん考えたんやけど、いま住んでいる東京都小金井市の待機児童ヘル(地獄ってことね!)の度合いはまぁひどくて......。当面フルタイムではなく、しかも自営業協力者として仕事をしていこうとしている妻の状況では、保活レースに体当たりで参戦しても、おそらく書類を書いている途中に、ルパンさながら車が脱輪してトランクス一丁でハンドルだけ持ちながら走り続けるみたいになるのは目に見えているというか......。

 そしてなにより、長女M子が生まれた当時も、我が家的にはまぁなんでしょ、目の前にいる子が明らかにまだ「The 赤ちゃん」な状態を見ていると、「もうちょっと大きぃなるまでは......、そうやね、せめて1歳児までは家で一緒に過ごせるほうがええんちゃう?」という希望もあって(この話は、決していわゆる「3歳児神話」的なものではない。この議論もいずれ)。

 逆に言えば、我が家は夫婦共々「がっつり正規で雇用」されていないので、「なにがなんでも職場復帰せなあかんから、頼むから預かってや!」という状況までには追い込まれていないことを、よく言えば逆手に取って育児と仕事を両立! 悪く言えばどうせ働かないといけないのは目に見えてはいるが呑気にちょっぴり先送り! みたいな感じかしら......。当然育休などもないから常に稼いでいかなきゃいけないわけで、タイムリミットは1歳まで。しかも、「1歳児入園の方が、余計に保活ツラいっすよ」ってツッコミも方々から聞こえてくるんだけど......。

 気を取り直して。でもまずなんとかせなあかんのは長女M子さんなのです。さすがに全力多動多感な4歳のM子と家で遊びながら、あるいは毎日事務所に連れていきながら仕事するのは......。まぁ、無理ですわ。それに、M子自身が滋賀県大津市で2年半、新潟県妙高市の一時保育で3ヶ月と、1歳児からもうずっと保育園ライフを続けてらっしゃるので、彼女自身のコミュニティを形成していくこと、しかも次は親の都合で勝手に転園することなく、ある程度地域に根ざしながらしっかり通園していただきたく。

 園の方針、物理的距離、そもそも幼稚園で預かり保育利用って手もあるよねなど、いろいろ検討したが、我が家的に一番重視したのはM子の通園ライフを「途切れさせないこと」だった。つまり、2018年4月から4歳児で新規入園するのだと、1月から3月までどこにも通えなくなってしまう。それは、ただでさえ東京で初めて生活するN美産みたての妻の状況をみても、M子の定着してきたライフサイクルから考えても、避けなくてはならない。

 まず最初は、「保活=しんどい」という逃げの姿勢も相まって、幼稚園から検討してみることに。でも、これまでがっつり保育園ライフだったため、やれ給食じゃないわ、そりゃ預かり保育も使えるけど、基本的には14時にはお戻りになるわってことで、我が家の生活ペースとほんまに合うんかいなとじわじわ方向転換。

 園の環境も自然豊かで開放的で、預かり保育もバッチリ、弁当と給食が選べたりという噂を聞いて、お隣の小平市の園に園バスで通わせてもらうことなども検討。M子を連れて見学にもまわったのだが、なかなか決めきれず。そうこうしているうちに、課題未解決なまま妻もM子も里帰り!

■気を取り直して......保育園狙いへ
 10月以降、「やっぱり保育園の方向で仕切りなおすか」ということで家族会議が開かれる。幼稚園に通っていただく決め手がなかなか見出せず、また、もし保育園に入れられたのなら、家計的にもぶっちゃけ助かるし、さらには次女N美が来年保活する際に、「兄弟加点」を活用できるのも、やはりささやかながら具体的な希望でもあり。と、こういった理由は完全に「親都合」ではあるが、それも現実。再び保活、頑張ってみるか......。

 で、東京でぼっち生活を送りながら僕は役所の保育園課にたびたび通った。まずは、家族のややこしい現在の状況を噛まず吃らず説明しきるために、口頭だけでは不安だったので表を作って持っていくことに。だって小金井市に引っ越ししてきたばかりなのに、現在妻と長女M子は里帰り中だし、それに当時まだ生まれていない次女N美に関してはしばらく家か職場でみながら働くから、M子の話だけをまず聞いてほしいって理屈がそもそも通用するのか......など不安でもあったのだ。

 この「下の子は家、上の子は保育園」というパターンは、自治体(激戦区かどうかなど)によっても対応が異なるそうではあるが、前述したようにだな、正直に「赤ちゃんは、1歳までは自分の手元で育てたいこと。でも上の子が保育園に通えなくて2人が家にいるとなると仕事にならないこと」をちゃんと伝えれば、状況を理解してもらえた。

 担当者さまと基本状況をシェアできれば、ここからは空き状況の確認だ。しかし、0〜2歳のいわゆる未満児ほどでないにせよ、3歳児の入園事情も楽ではなかった。ぶっちゃけて言えば「選ばなければある」という感じ。でも実質片手で数えられるくらいの候補数だし、自転車で往復30分以上かかる場所だったり、いわゆる駅前の雑居ビル内に設置された園庭がない園だったり。

 そりゃわがまま言い過ぎかもしれない。でも僕ならまだしも、僕が出張に行っている間に妻が生後数ヶ月そこらのN美を抱っこして自転車に乗ってM子の送り迎えをするのは当面難しい。だから、多少時間がかかっても徒歩圏内にはしておきたい。それに、1日のうち主要な時間を占める保育園ライフ、M子にはできるだけ開放的な環境で過ごしてもらいたい。

 そこで担当者さまと相談するなか、ある園に絞り込むことに。それは当時リアルタイムの10月に開園したばかりの新規園。その絶妙なタイミングゆえに3歳児以上は軒並み定員割れしていたのだ(もちろん未満児は見事に満員御礼)。気になるのは新規園なので誰からの前評判も聞けないということ、あと、調べると4〜5歳児がゼロ人、つまりM子にとって「先輩」がいないこと。

 とはいえ、自宅から徒歩でも往復25分、自転車を使えば往復15分程度の好立地。シミュレーションがてら、こっそり雰囲気を覗きにいったら(この「見学以前」の段階で、保育園の前をうろうろ覗きにいくのって、周りから見たら怪しいんだろうなって自意識が高まります)、絶賛園庭工事中で、とにかくオープニング感満載。よくよく考えれば、滋賀県で通っていた園も新規園だったし、なんとなく雰囲気かぶるのよね(全然悪い意味でなく。ただ似ているってだけ)。まぁ、ちゃんとした見学を正式に申し込んでみますかと、妻と電話で相談。

■生まれておいで!N美さん
 で!! この時点で10月末。実は、「予定日」数日前である。しかし、N美は一向に生まれる気配がなく、妻は「また検診行ってきたけど、"こりゃ予定日越えるね"って先生が」と。僕はどのタイミングで妻の実家に行くかを見計らっていた。もし予定日を数日過ぎれば、文化の日からの三連休に突入する。このあたりは例年、文化関係の仕事をしている者にとっては手帳のスケジュールがぐちゃぐちゃになる時期。もちろん今年はいろいろセーブしながら、とはいえ、何かを前倒ししたり、後に回したりと、刻一刻と迫る予定日を一応基準にさせていただきながら(そりゃするわな)調整し続ける日々。  東京にいるときは「いつでも大宮駅から北陸新幹線乗ったるで!」って感じ、また大阪でも仕事をしているからもしそのタイミングだったら「いつでもサンダーバードに乗って金沢経由で駆けつけまっせ!」ってな感じでさ。ひとしきりの生活用具と充電バッテリー類と医薬品などを常備しながら妻とやりとりする日々。

 で! 予定日越えた! 「出てこんなー。困ったちゃんやわー」と妻の電話口の声の向こうから、M子が「パパー!! エグゼ〜♪ エグゼ〜♫」(←「仮面ライダーエグゼイド」の主題歌ね)という笑い声が。まぁ、ともあれ行くか。もう数日で生まれてくるだろうし。ということで、11月に入り大阪の勤務先の大学からバックパック背負って、いざ新潟県妙高市へ。次回へ続く!