第2回

多様な働き方を認めてや! フリーランスは保活弱者!? ちなみに妻と娘は絶賛里帰り中......

 いままでいろんな働き方をしてきた。会社に契約社員で勤めたり(1年だけだけど)、NPOの常勤スタッフになったり、宗教法人(お寺です)に雇っていただいたり、フリーランス(個人事業主)になったり、大学教員を兼務したり。

 そのたびに、社会保険を出たり入ったり、フリーになって以降は事務所を転々とし、ときに自宅と兼ねたり、別で借りたり、誰かとシェアしたり、関西と東京の二拠点オフィスでノマドワークしたり。妻もNPOに勤めたり、自治体が主催するアートイベントの期間限定雇用のスタッフになったり、僕の個人事業の協力者として自宅で働いたり。

 子どもが生まれる前から二人して、まぁそれなりに働き方を固定しないというか、よく言えば柔軟、悪く言えば節操なく、なんとか好きなことを仕事にしながらサバイブしてきた。

 2013年に長女M子が生まれ、妻は仕事を辞め、しばらく子育てに専念することに。その理由は、産休や育休が見込めるような正規雇用に就いていなかったこともあるし、僕も出張が多く、すぐにライフスタイルを変えることが難しかったこともあったりなんだけど。
 そこで妻はいろいろと考えて「1歳になるまでは家にいる」ことを提案してくれたのだった。で、1年くらい経ち、妻もそろそろ仕事復帰しようということで、当時住んでいた滋賀県内の福祉系法人に非常勤職員として就職内定。

 いよいよ保育園の書類を揃えることになって、はじめて目を通した「保育施設利用選考基準」。そこで感じたのは、「居宅外労働/居宅内労働」という区分の存在に対する違和感だった。

 僕の感覚はこう。

 まず、「めっちゃザックリしてるやん!」と。それに「そんなん、家で働くこともあれば、外で打ち合せすることもあれば、日によっても時間帯によっても違うやん!」と。

 そのことを妻に言ったら、「いや、そりゃ実際はそうなんやけど、役所の担当者的にはサラリーマンは会社に通勤していて、自営のひとは家で店でもしていて。で、それ以外の働き方は"ない"ってことなんじゃないの?」と。
 担当者からは必要書類に加えて、1ヶ月の勤務スケジュールを一覧表にして提出してねと言われたので、とりあえずまぁGoogleカレンダーに入力している予定を印刷して、さらに細かく書き込んだりして徹夜で書類を作成したのを覚えている。

 数年前のそのときは、M子は認可保育園の1歳児クラスに入園できたので、「喉元すぎれば......」って感じで忘れていたのだが、このたび、「待機児童ヘル全開!」の東京にわざわざ越してきていろいろ保活するなかで、あのときの違和感が数倍も輪をかけて再燃してきているので...。今回はそのあたりのことをツラツラと。

■ここがヘンだよ! 保育の点数!?
 さてさて。東京都内、都下、神奈川、千葉、埼玉などの首都圏のさまざまな利用選考基準を調べてみた。役所に電話したり窓口に行ったり。またネット上でも、「フリーランス≒保活不利」的な記事や、「認可保育園の入園でフリーランスに優しい自治体はどこだ?」的な記事もいろいろと見たり。
 僕の場合、フリーランスの中でもおそらくかなり不定形(その日その日の働き方や勤務地なども)なので、そのような記事は一概に参考にしきれないなと思いつつも、とても共感する記事もあって。そこで表明されている「違和感」や「怒り」の要点をざくっとまとめると......。

①居宅内勤務の方が、なんで居宅外勤務より点数低いんだよ! 問題。
(すなわち!「家で仕事しているんだったら、子どもの世話しながら仕事できるよね」って言われても、集中できるわけねぇだろっ! 問題。)

 これはほんとに「そうそう! "はいはい、おっぱいでちゅねぇ、ゴクゴクゴクって飲ませながらのメール10本連続返し!"ってできるか!!」と、関西人としては完全にノリ突っ込みレベルの話である。

 そりゃ僕も、家で子どもをみながら短い原稿を書くことだってあったし、妻も自宅で子育て専念中の際も僕の税務処理などを引き受けてくれていた。でもさ、まぁ経理ひとつとっても、やれレシートむちゃくちゃにするわ、やれキーボードを勝手に打とうするわ、制止すると怒り狂って泣き出すわといったM子のグダグダちゃんな状況を見るにつけ、"ちゃんとそれなりに"仕事をこなそうとすれば、とてもじゃないが「おぶってやれるでしょ」的な話は通用しない。

 で、さらにやっかいなことに、こんな問題も。

②じゃあわかったよ。家で子どもの世話しながらなんとかむりくり仕事してみるけど、えっ? それができたら担当者に「じゃあお宅、家で子育てできているってことだよね?」って言われて「減点」ってなんだそりゃあ!? 問題。

 これはとても切ない。だって保育園に入れないからなんとか我慢して家で育児しながら働いていたら、「家で育児できるなら保育に対する必要度、それほど高くないよね」って言われて、頑張って我慢してきた分がさらに報われなくなるなんて、そんなことってあります?

 確かに自営業者はただでさえ育休なんてないんだから、背に腹は代えられず家でなんとか仕事しますよ。どうか、その「切羽詰まった感」を逆方向に(保育園に入れない方向に)解釈せずに、何卒相談に乗ってください、ご担当者さま。

 もちろん、役所に行けばフリーランスがあからさまに嫌な顔されるわけではなく、担当者もちゃんと相談に乗ってくれることがほとんどだと思う(いろいろこちらの状況が伝わらず、だいぶ突っ込まれたりはしたけど)。また自治体によっては、居宅外と居宅内で点数の差がないところだってある。

 大田区などはそうで、僕も、仲の良い友人家族が大田区に住んでいたり、付き合いのある職場が品川にあったりするので、大田区も引っ越し先の候補として調べてみたところ、細かいことを言えば自営業者には「中心者」と「協力者」という枠があり、協力者は中心者よりも点数が低いことが往往にしてあるのだが、大田区はその点においても差がないなど、自営業者・フリーランスに対して一定の理解がある利用選考基準と言えるだろう。

 一応、どこの自治体も「あんた自営業だから点数低いよ」という言い方はしない。保育の必要度合いを測る基本はあくまで「就労時間」なので、その点においては自営も会社員も平等だ。
 が、実際のところはこうして「居宅内/居宅外」というまずは「勤務地」の括り、そして「中心者/協力者」(家族経営の場合は夫と妻どちらか)といった仕事の「関わり度合い」の括りがあり、実質、自営業・フリーランスにとって不利な利用選考基準になっていることは否めない。

 結局、「最強」なのはやはり夫婦共々(フルタイムなどは言うまでもなく)「雇用されて通勤している会社員」ということになる。これまでも大概、「自分の働き方は、世の中的にはかなりマイノリティやなぁ」と思って、わざわざそのことをテーマにした分厚い本(『コミュニティ難民のススメ──表現と仕事のハザマにあること』木楽舎、2014年)まで書いたけど、この保活を通じてよりリアルに「困ったこと」として実感することに。

■かかぁの腹はでかくなり......申請時期も間近に迫り......! 
 で! 状況を憂いているだけでもしかたあるめぇ。っていうか、目の前に峠がどんどん近づいてるんだからなんとかせねば。そう、第二子、次女N美の出産である。

 2017年9月に滋賀県大津市から東京都小金井市に転居。そして、転居後10日ほどですぐに、妻は長女M子を連れて新潟県妙高市へ里帰り。予定日は10月末だったんだけど、出産予定の産科クリニックでの検診の都合もあって、一足先の里帰りとなったのだ。

 僕は単身東京に残りつつ、月数回、新潟へ通う生活に。妻から「東京に忘れてきたから、あれ持ってきて」と言われた衣類とか、M子の絵本とかをカバンに詰めて行き、逆に東京に戻るときは、妙高名物「かんずり」と「サラダホープ」を買ってかえって仕事仲間に配る日々(どうでもいい情報すんません。でも興味ある人はググってみてください。超美味!)

 で、N美はまぁ産まれてくるのを待つしかできないんだけど、この新潟での生活、M子はどう過ごすよ?!と。新潟にはじいじもばあばもいるけど、農家のため収穫時期とかぶって大忙し! 妻も自営の経理業務などがあり、M子と終日べったり一緒にいては......。
 それに何よりもこれまで、2年半、滋賀でがっつり保育園に通っていたM子としては、家にじっとしていることなどできず、だからと言ってお腹の大きい妻と、忙しいじいじとばあばでは、そう頻繁に外に連れ出す(だいたい歩いていける距離に公園がひとつしかない!)のもままならず。

 それになりよりもM子自身が同世代の子どもたちとがんがん揉み合い、お喋りし合い、活発にコミュニケーションするのも、この年少さんの年である彼女にとっては大切なことだろう。そう思って、新潟の地元で一時保育を活用することに。里帰りのための上の子の一時保育は、そんなに頻繁にはないだろうけど、珍しいわけでもなく、早速妙高市の保育課に問い合わせ、園に見学に行き、M子の入園が決定。

 下の子の産前6週産後8週というのが、M子の在園の期間に。ひとまず、2017年内の家族の生活スタイルがこれで固まる! そしていよいよ目前に迫るN美の出産、そして、里帰り生活終了後の2018年1月から東京での生活のための、娘たちの保活......。

 役所に行けばエレベーターの前に、大量に平積みされた「平成30年度保育施設等入所案内」のいかにも行政がデザインしそうな、虹の上でバンザイする園児のイラストが......。焦る。まじで焦る。次回へ続く!