センスのABC

岡尾美代子

マーファへの旅

 あんなに待ち遠しかったゴールデンウィークもあっという間に終わってしまい、またいつもの日々が戻ってきた。休みが終わったばかりなのに、次の休みがもう待ち遠しい(笑)。
 そういえば去年の今頃はマーファへの旅の準備をしていたところだった。準備といっても、エアーチケットもホテルの手配も人任せだったから、ほぼ何もしていないのだけれど(言うなれば「気分」の準備かな?)。
 マーファはアメリカ、テキサス州にある小さな町。でもここはミニマル・アートを代表するアーティスト、ドナルド・ジャッドが70年代に移り住んだことと、マーファライトという不思議な光で有名な場所だ。
 そもそも私がここに来てみたいと思ったのは、その前の年にN.Y.のソーホーにあるジャッドの住居兼スタジオ、101 Spring St.を見学したことがきっかけだった。正直なところ、この時はほとんど"ノー知識"で見に行ったのだが、作品、そしてインテリア(特にキッチンとダイニング)に心を奪われてしまった。そんなわけでいつかマーファへ行ってみたいと思うようになったのだった。
 そんなこともあって実現したマーファーへの旅......とはいえマーファは本当に遠かった。最寄りのエルパソ空港から車で3時間(そもそもエルパソに着くまでに波乱の乗り継ぎがあり、奇跡的に辿りついた感があるのだが)。アメリカのハイウェイを飛ばしての3時間はかなりの距離がある。しかもマーファとは逆方向にあるホワイトサンズという場所に寄り道してから向かったので、マーファの町に入った時はもう日没で、マーファライトが(果たして)あったのかどうかにも気づかずな状況だった(でもとてもきれいな夕暮れだったのは確か)。
 次の日にジャッド関連の施設をツアー見学して、美味しいブリトーを食べて、この地を後にしたのだが、この旅はまだ自分の中で噛み砕けずにいる気がしている。だからもう一度訪ねてみたいような、でもこのまま記憶の中に置いておきたいような不思議な感じだ。でも一つだけ確かなのは、とてもいい旅だったということ。なのでこの旅の話はまたいつか、に。

マーファの夜のメインストリート。改めて見直してみると映画のワンシーンのような風景。本当にね、町が暗いの。

メインストリートにあるジャッドの施設の一つ。通りから窓越しに撮った一枚。長いテーブルや古いままの天井......作品のある空間がそのまま一つの作品となっている。

美味しかったブリトー。Marfa Burritoにて。

泊まったホテルにて。この犬もゲストです。

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PROFILE

岡尾美代子
(おかお・みよこ)

高知県生まれ。スタイリスト。
雑誌・書籍などさまざまな媒体のスタイリングを手がけるほか、
鎌倉で友人とともにデリカテッセン「DAILY by LONG TRACK FOODS」を営む。
『Land Land Land』『Room talk』『肌ざわりの良いもの』『雑貨の友』などの著書がある。

Instagram:@miyokookao  LONG TRACK FOODS