センスのABC

岡尾美代子

庭仕事(本気編)

 寒い日が続く。
 鎌倉の山の中腹にある我が家の庭も寒々しい景色で、枯れた草や落ち葉の上には白い霜、雨水を貯めているバケツにはまあるい氷が蓋のように張っている。そういえばこの家に越してきてから間もなく1年が経とうとしている。引っ越した頃もこんな風に殺風景な景色だったことをぼんやりと思い出した。
 東京から鎌倉に越して11年。その間に3回の引っ越しをした。そもそも鎌倉に住もうと思ったのは庭のある家に憧れたからで、なので住んだ家にはどこも庭があった。今度の家は玄関にたどり着くまでに階段が70段、という厳しい条件なのだが、それと引き換えに広い庭がついている。先の住人が時間をかけて植えたのであろう花や木も引っ越し当時は全貌がわからず、とりあえず様子を見るのが最初の仕事だった(要するに何もしていないということなのだが......)。
 越した頃に咲き始めたのが椿、その後に山との境にある桃、続いて桜の花が咲いて、地面からギボウシの葉がぐんぐん伸びてきて、大きな木が紅葉だったということが判明し、その後は紫陽花(花、あまり咲かず)。その間に名前がわからない雑草や葛の蔓や、笹といった厄介な植物が、ものすごい勢いで育ってきて、夏はほぼ雑草の庭となった(もうお手上げ状態の!)。秋になると金木犀、栗(これはほぼリスに食べられた)、最後にご褒美のように柚子のような味の小さな柑橘がたわわに実ってから庭は眠りに入った。でも眠っているように見えていた庭も、よく見れば紫陽花に濃い紫色の芽が出ていて、椿の木にも蕾がふっくらと、たくさんついている。
 さて。いよいよ本腰を入れて庭仕事を始めるべき時が来た。紫陽花の剪定も急がねばだし、冬に植えようと買っておいた水仙の球根には、うっすらと芽が出ている(きゃっ)。
 今までの庭づくりで、自分にそのセンスがないということはよくわかっているけれど(この話はまたいつか)、再度挑戦あるのみ。まずは球根がよく育ちそうな場所を見つけるところから始めてみることにしよう。

ロンドンの花市場として有名なColumbia Road Flower Marketには、気になる花の球根がたくさん売られていたけど、こればかりは買って帰れなかったのが残念。これから植える予定の球根は水仙、黒いチューリップ。それと時期は逃しちゃったムスカリとスノードロップも植えてみよう......。とにかく急がなきゃ、だわ。

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PROFILE

岡尾美代子
(おかお・みよこ)

高知県生まれ。スタイリスト。
雑誌・書籍・コマーシャルなどさまざまな媒体のスタイリングを手がけるほか、
鎌倉で友人とともにデリストア「LONG TRACK FOODS」を営む。
『Land Land Land』『Room talk』『肌ざわりの良いもの』『雑貨の友』などの著書がある。

Instagram:@miyokookao  LONG TRACK FOODS